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産まれてきてくれてありがとう
「円花は首が座っていたから抱っこしやすかったけど、産まれたばかりの赤ちゃんを抱っこするのは初めてだから。どうしていいかいまいち分からなくて」
「すぐに慣れるよ」
「ありがとう青空さん」
凛が無事に産まれたと未知さんと橘さんから聞いた心春は飛び上がるくらい大喜びだったみたいで、まーちゃんもお姉ちゃんになったんだよ。良かったね。と円花に話し掛けていた。とはいえ、凛ばかりみんなに可愛がられ、心春が赤ちゃん返りしないかそれだけが心配だった。
「パパ、ママ~~!」
ガタン、とドアが開いてくまのぬいぐるみを脇に抱えた心春が元気いっぱいに駆けてきたからびっくりした。
「あれ、明日の朝に来るって言ってなかった?」
「はるせんせ」
心春がドアを指差すと、
「明日まで待てと言われても待っていられないだろう。だから、連れてきた」
卯月さんが姿を現したから驚いた。はるせんせとは卯月さんのことだった。慌ててベットから起き上がろうとしたら、
「寝てていいぞ」
卯月さんに止められた。
「円花は橘と柚原がみているから心配ない。うちの子どもたちも陽葵が産まれた日、妹に今すぐに会いに行きたい、抱っこしたいと大騒ぎだったんだ。だから心春の気持ちがよく分かるんだ」
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