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キヨちゃんどうか無事でいて

「橘さん、大変です。ネットニュースでキヨちゃんがいる教団の本部で銃乱射事件が起きて多数の死傷者が出ているって」 「表向きは銃乱射事件ですが、上海マフィアの黒竜(ヘイノン)が本部を急襲したんです。シェドと黒竜のボスの紫竜は持ちつ持たれつギブアンドテイクの関係でしたが、蜜月はそういつまでも続きませんからね」 橘さんは事件のことをすでに知っていた。 「キヨちゃん無事だといいけど……」 「不法滞在で日本に強制送還されるか、スパイ容疑で当局に逮捕されるかどちらかでしょうね。四季さん入院している間しか体をゆっくり休めませんよ。退院したら三児のママとして毎日朝から晩までバタバタで休む暇がないくらい忙しい日々が待っているんですよ。床上げまでは私と未知さんとはる先生が責任をもって心春ちゃんと円花ちゃんのお世話をしますから安心してください。四季さん、凛ちゃんも寝てますし、すこし横になったらどうですか?」 「はい、橘さんありがとうございます」 車椅子からベットに移乗し、お手手を万歳しすやすやと眠る凛の顔をそっと覗き込んだ。あどけない寝顔に癒されて自然と笑みが零れた。

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