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四季の手はあたたかいね

「結、その時の話しをあとでいいから詳しく聞かせてくれないか?」 「なんで?」 不思議そうにヤスお兄ちゃんを見る結お姉ちゃん。 「十矢は結と離婚したくなくて、昔、朝宮真沙哉とその仲間たちがきみにしたことと同じことをきみにしたんだ。シェドは女たちを確実に妊娠させためには手段は選ばなかった。十矢はそれを真似して実行に移した。これはれっきとした犯罪だ」 「結がいれば住むところも生活にも困らない。貯金もないんだ。離婚すれば養育費も払わないといけないし路頭に迷うのが目に見えている」 結お姉ちゃんの体がガタガタと震え出した。 「大丈夫?」 手を伸ばし、結お姉ちゃんの手にそっと重ねた。 「四季の手は温かいね。彼の手は氷のように冷たかったのよ。あの時千里さんが二人きりになるのは危ない。立ち会うって。でも彼が夫婦のことだから、他人であるあなたには関係ない。口を挟むなって千里さんをすごい剣幕で追い払ったの。もう分かんないよ、彼が何を考えているか」 結お姉ちゃんの目から悔し涙が溢れた。

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