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四季くんの手はあたたかいね
「五月蝿くしたら凛が起きるよね。ごめんね四季。遅くなって」
「和真さん、あのね……」
「姉さんのことだろ?」
「知ってたの?」
「いや、さっきヤスから聞いてびっくりした。こういうとき男って何も出来ないから情けないよな。姉さんの側にいたのに何で気付いてやれなかったのか。十矢さんともっと話をすれば良かった。悔やんでも悔やみきれないよ」
「和真さん、結お姉ちゃんとチカちゃんは?」
「蜂谷さんと青空さんと四人で駅ビルの中にある飲食店に向かった。仙台行きの最終の新幹線が出発するまで女子会をするみたいだよ。少しは姉さんの気が晴れればいいけど……」
彼が不安を口にした。
「なるようにしかならないよ。ね、和真さん」
なるべく笑顔で明るく答えた。
「それもそうだね。心春と円花が待っているから帰るよ。四季の元気そうな顔が見れて良かった」
「和真さん、心春と円花をお願いね」
「任せろ」
力強く答えると慌ただしく帰っていった。
キヨちゃんの会見がネットで公開されている時間だ。生きて帰ってきてほしい。祈ることしか出来ないのが歯痒い。
「気になるのは分かるが寝ねぇと体が持たないぞ」
廊下から聞こえてきたのは弓削さんの声だった。
「なんかみんな出払っていて、暇人は俺だけみたいだ」
「暇人だなんて」
首を横に振った。
「病院のなか、うすらかすらしてっから何かあれば呼んでくれ」
「分かりました」
答えると足音が遠ざかっていった。
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