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弓削さんがいてくれるから心強い

「海堂だよ。こころやすらぎの前教祖だ。会えないならこれを渡してくれ」 花束を差し出した。 「申し訳ありませんが、規則で生花はお断りしていますので……」 「は?なんだそれ」 男が目をつり上げた。 「どうした」 異変に気付いた佐治さんがすぐに来てくれた。 「さ……」 佐治さんの目が和真さんって呼べ。お話しを合わせろ。そう言っているようだった。 「和真さんなんでもないの」 「そうか。部屋に行こうか?」 佐治さんが男性を睨むように一瞬だけちらっと見ると何事もなかったように車椅子をゆっくり押してくれた。 「佐治さんありがとうございます」 「こんなのどうってことないよ。眠気覚ましに炭酸の飲み物を買うついでに院内をパトロールしていたんだ。あの男は何食わぬ顔で正面入口から堂々と入って来たんだ。受付を素通りして真っすぐエレベーターに向かったから変だと思って後をつけたんだ。良かった間に合って。四季さんに何かあってからではヤス兄貴と兄貴に顔向けが出来ない。オヤジに半殺しにされる」 「そのくらいで済めばまだいいほうだ」 「マジっすか」 佐治さんの顔から血の気がさぁっと引いた。 弓削さんがそれを見てクスリと笑いながら扉を少し開けて廊下の様子を伺った。 「四季が退院するまであと二日。退院したらそう簡単に手出しは出来なくなるから連中はかなり焦っているはずだ。火災報知器をわざと作動させて混乱に乗じて凛をさらう魂胆なのかも知れない。佐治、オヤジに連絡だ」 「はい!」佐治さんが大きな声で返事をするとすぐに卯月さんに連絡をしてくれた。

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