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弓削さんの福島弁が分かるヤスお兄ちゃんと佐治さんはすごい
「僕がここに入院していることをなんで知っているんですか?」
「それはだな、瀧田が言いふらしているからだ。海堂が持ち逃げした教団の金の在処を知っているのは海堂の娘だってな。橋本もよけいなことを言いやがった」
「よけいなことって何ですか?」
「それは退院して落ち着いてから和真から聞いたらいい。ほら、食わねぇからすっかりのびっちまったべした」
弓削さんに言われ慌てて箸を持ち上げた。
「金は魔物だ。人も人生もすべて変えてしまう。ないよりはあったほうがいいがな」
斉木先生が窓に近付きカーテンを開いた。
「朝靄が濃かったからな、雲一つない快晴だ。三月なのに夏日予報だ。遠くさ見える安達太良山も雪化粧をしていてとても綺麗だ。惣一郎さんと和江さん元気かな」
「いっきゃって来たらどうだ?ウーと陽彩を連れて」
「それいいかもしんねな。土産に二人が大好きな饅頭でも買っていくか。どれ、仕事をしてくっぺ。二階の小児科外来にいっから何かあったら呼んでくれ。四季さん、今夜はお祝い御膳だ。和真さんが来れないときはナースステーションに凛ちゃんを預けてゆっくり食べたらいい」
「はい、斉木先生ありがとうございます」
ぺこっと頭を下げた。
「弓削さん、四季さんを頼むぞ」
「任せろ」
力強いひとことが何よりも心強い。
斉木先生がドアを開けようとしたらがらりと開いたものだから先生が驚いていた。
「なんだバーバさんか、誰かと思った。頼むから驚かさないでくれ」
斉木先生がほっとして胸を撫で下ろした。
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