「黒田さんからどうぞ」 「初瀬川さんからどうぞ」 「私より黒田さんが先です」 「初瀬川さんが先でしょう？」 お互いに譲り合う二人。これでは埒が明かないと踏んだたもくん。 「黒田さんは武田課長と、初瀬川さんは黒田さんの息子、悠希《はるき》さんと結婚した。初瀬川さんは妊娠六週目だと昨日判明した。報告は以上」 「ちょっと岩水くん」 「なんで言っちゃうかな？」 「お互いに譲り合っていたら明日になりますよ。親子みたいに仲のいい嫁姑で羨ましいです」 「初瀬川さんも黒田さんもおめでとうございます」 「おめでとうございます」 思わぬサプライズに驚いたけど、こんなにも嬉しいことはないもの。 「まさかこの年でプロポーズさるとは思わなかったわ」 黒田さんが照れてますます赤くなった。 「恋に年齢は関係ないと思いますよ。武田さんとどうか末永くお幸せに。初瀬川さんも結婚と妊娠おめでとうございます」 「ありがとう和真さん。彼と出会えたのもみんな四季くんのお陰よ。四季くんありがとう」 「僕は何もしていません」 慌てて首を横に振った。