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ダブルでおめでとう!
「別になにも悪いことはしていないんだ。正面から正々堂々と退院すればいい。和真、ヤス、ハチ、そう思うだろ?」
それから二日後。無事に退院の日を迎えた。彼が卯月さんと一緒に迎えに来てくれた。一ヶ月健診は伊藤先生が自宅から比較的近いながはらレディースクリニックで受けられるようにしてくれた。瀧田さんの奥さんの事件を受け、休診していたけど、二週間後には診察を再開出来るからと伊藤先生が話していた。
会計を済ませ、ハンドリムをこぎ正面入口へとゆっくりと向かった。凛は彼の腕のなかですやすやと熟睡中だ。
事件を受け、警備員の数を倍に増やしたみたいであちこちに警備員が立っていてものものしい雰囲気が漂っていた。
「あれ~~バーバさんじゃねぇか」
白衣姿の斉木先生に声を掛けられた。
「先生には世話になった」
「何言ってんだ。それは俺の台詞だ」
斉木先生がキョロキョロとあたりを見回した。
「あれ?弓削さんは?いつもヤスさんにうっとおしい、暑苦しいと言われてもねっぱってるのに珍しくいない。喧嘩でもしたか?」
「喧嘩はしていない。弓削は姐さんの弾よけが本業だ」
「なるほど。そうだったな」
「妹と姪が世話になった」
「お世話になりました」
彼とヤスお兄ちゃんと三人で斉木先生に頭を下げて、心春と円花が首を長くして待っている我が家へと向かった。
「凛、お姉ちゃんたちが待っているから帰ろうね」凛に静かにそっと話しかけた。
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