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ダブルでおめでとう!

車が走り出して十分。菱沼組の組事務所があるビルが見えて来たから下りる準備をしようとしたら、 「まだ下りないから寝ててもいいぞ」 卯月さんから声を掛けられた。 「和真さんどこに行くの?」 不安そうに聞くと、 「姉さんとおじいちゃんとおばあちゃんがお世話になっている度会さんの家だよ」 「なんせ去年の六月から四季の妊娠が判明する前から、紫さんは床上げまでゆっくり過ごしてほしいと準備を進めていたんだよ。車椅子でも使えるように畳の部屋を洋間に変え風呂には手すりをつけた。心春も円花も度会さんと紫さんにすっかり懐いている。度会さんと紫さんは未知の親代わりであり、子どもたち全員のじぃじとばぁばだ。だからなにも心配することはない」 「なんで僕のためにそこまで……」 「ヤスの妹は娘も同然。度会さんも紫さんも言葉には出さないけど四季のことを心配して陰になり日向になりずっと見守ってきた。それが二人なりの愛情表現だよ」 思いがけないことを言われ胸がじんと熱くなった。それは彼とヤスさんも同じだった。

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