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心春ただいま

両手を合わせていただきますを言ってから僕はかなり遅めのお昼を、心春は三時のおやつを食べはじめた。 僕が入院している間、おばあちゃんと紫さんから料理を教えてもらっていたみたいで、お昼を食べ損ねた僕のためにおにぎりと野菜炒めを作ってくれた。 おばあちゃんと紫さんは縁側に腰をおろしお茶を飲みながら談笑していた。 このまま一緒に住まない?私と度会で住むには広すぎるのよね。紫さんからそう言われたみたいで、おじいちゃんもおばあちゃんもかなり悩んでいるみたいだった。 まだ元気なうちにと、度会さんと紫さんが終活をはじめたと卯月さんが話してくれた。 「静かなより賑やかなほうがいいです」 「俺もだ。シェアハウスみたいに、同じ屋根の下で一緒に暮らせばいいんだ。子どもたちもじいじとばあば、まわりの大人たちからいろいんなことを学んで逞しく成長していくだろよ」 「卯月さん、たまにはいいことを言うのね」 「たまにはって、勘弁してくださいよ」 紫さんの明るい笑い声がいつまでも聞こえていた。

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