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男子会
「用事がなければ寄っては駄目かなと勝手に判断していました」
「用事がなくても顔を見るだけでも安心する。コーヒーくらい飲んでいけ」
「はい、これからはそうします」
自然とキヨちゃんの話しになった。僕はキヨちゃんの会見をまだ見ていない。というか怖くて見れないと思う。
「地竜も橋本が今どこにいるのかまったく分からないそうだ。生死も依然として不明だ」
十矢さんと一緒に誘拐され教団本部へと連れていかれた男性たちは当局に保護され、事情を聞かれたあと、日本へと強制送還されることになった。
「こんなことを言ったら不謹慎かも知れないけど、このまま日本に帰ってこないほうが橋本さんにとって幸せなのかもしれない」
彼が心のうちに秘めた思いを漏らすと、
「誰も不謹慎だとは思わないよ。だって和真の言う通りだから。帰国するなり空港で背後から刺される可能性もないしもあらずだ。橋本はたくさんの人を傷付けた。恨みを買いすぎた」
コオお兄ちゃんが夜空をじっと見つめた。
「聡太の警護を強化するか。子供好きで腕っぷしのいいのを一人真山のところにやったほうがいいかもしれないな」
卯月さんが玲士を呼べと控えていた若い衆に声を掛けた。
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