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十矢さんの帰宅と、キヨちゃんの行方
「四季!大変だ!」
ヤスお兄ちゃんが慌てて駆け込んできた。
「急いでテレビを見ろ」
「見ろと言われてもテレビはここにはないわよ」
「のり子さん、こんにちは」
「こんにちは、ヤスさん。どうしたの、そんなに慌てて。何かあったの?」
「オヤジの不安が的中した。日本へ移送中の橋本が何者かに刺されて、そのまま連れ去られた」
「え?嘘………」
言葉を失った。
「サツは情報が漏れないように箝口令を敷いていたのになぜ漏れたのか」
ヤスお兄ちゃんが頭をくしゃくしゃと掻いた。
「きっとお喋りが大好きなカラスがいるんですよ。卯月も内密の話しをするときは特に気を付けて、時と場合によっては筆談をしているでしょう」
紫さんが部屋に入ってきた。
「実はね十矢さん明日帰ってくる予定になっているのよ。四季さんもいるし、結さんも体調が悪くて臥せっているから落ち着いてからにしてほしいと度会が十矢さんに頼んだけれどね」
ハァ~と紫さんがため息をついた。
「おおかた妻子に会うのにいちいち許可がいるのか。そう言われたんでしょう?」
「そうよ。ここにいる間は騒ぎを起こさず大人しくしててほしいけど……」
あれこれと悩みが尽きない紫さん。ため息ばかりついていた。
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