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緊急事態
「お姉ちゃん大丈夫?顔色悪いよ」
トイレからふらふらと出てきたお姉ちゃん。足元が覚束ない。
「危ない!」
転びそうになったお姉ちゃんをなんとか抱きとめたけど、僕の足元には円花がお座りしている。両手が塞がっているからブレーキ棒を引っ張ることが出来ない。円花お願いだからお座りしててね。動かないでね。
生あたたかいものがちょろちょと流れているそんな感触があった。
「すみませんが誰か来てください!お姉ちゃんが!」
何かあったら大きい声で呼べば誰かしか来てくれる。卯月さんに言われた通りに大きい声を出すと、
「どうした?」
「四季!」
蜂谷さんと青空さんが飛んできてくれた。
「譲治、庭掃除はあとでいいからこっちに来てくれ」
竹ぼうきの柄を握り首を傾げる譲治さん。
「蟻も蝶もあとで一緒にさがしてやる。緊急事態だ」
青空さんに言われようやく理解したみたいで竹ぼうきを下に置いた。
「台所に紫さんがいる。救急車を大至急呼んでくれ。あと誰か、オヤジと橘とのり子さんを呼んでくれ」
円花を抱き上げててきぱきと指示を飛ばす蜂谷さん。青空さんはお姉ちゃんを抱きかかえ、すぐに救急車が来る。紬は心配ないと声を掛け続けた。
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