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緊急事態

お姉ちゃんに付き添って病院に一緒に向かったヤスお兄ちゃんと弓削さんが帰って来たのは夜の八時過ぎのことだった。 「ヤスお兄ちゃん、お姉ちゃんは?お腹の赤ちゃんは?」 「二人とも無事だ。切迫流産の恐れがあるから一か月くらいは入院して絶対安静だ。和真が来てくれたから先に帰らせてもらった。紬は俺と弓削で面倒をみるから大丈夫だ」 紬ちゃんは弓削さんの背中におんぶされ、親指をちゅーちゅーと吸いながらすやすやとねんねしていた。 「いやぁーめんこい」 二人ともすっかり紬ちゃんにメロメロだった。 「紬を寝せてくる」 「俺もいく」 ヤスお兄ちゃんが弓削さんのあとを追いかけて行った。 「新婚さんなんだもの。私たちが面倒をみるって言ったんだけどね」 「結と約束した。それを守るのが男だって」 二人と一緒に帰ってきたおばあちゃんとおじいちゃんが目を合わせるなりくすりと笑った。 「面会時間は九時までだから和真も帰ってくるわ。心春たちは?」 「めぐみちゃんと遥香ちゃんが二人をお風呂に入れてくれて、歯を磨いて寝る準備をしていると思うですけど、二人とも遥香ちゃんのところがいいのかぜんぜん戻ってこなくて。未知さんと卯月さんが一緒にいるので心配はしていないんですが」 「和真がいなから寂しいわよね。心もとないわよね。分かるわよ、その気持ち」 「そうじゃなくて、あ、あの……」 顔を真っ赤にしてうつむくと、ホホホとおばあちゃんが愉しそうに笑い出した。

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