橘さんが牛乳多めのノンカフェインのカフェオレを用意してくれた。 ｢猫舌のかたが多いのでぬるめにしてみました。もし熱いほうがいいながらもう少し温めますよ」 ｢これで大丈夫です。ありがとうございます」 ｢お邪魔虫は退散しますので、どうぞゆっくりしてくださいね」 橘さんは彼と二人きりにしてくれた。 ｢あのね和真さん」 話したいことがたくさんあったけど、連日連夜の睡眠不足で眠くてあくびしかでなかった。 ｢ごめんなさい」 ｢ご飯を食べたら急いで風呂に入ってくるからなるべく早く寝よう」 ｢うん。わかった」 ｢テレビやネットはこぞって橋本さんの事件一色だ。何より腹が立つのはいかにも悪いのは菱沼組で、橋本さんはむしろ被害者だと言わんばかりのマスコミの報道だ。嘘はっ百を並べて、面白おかしく報道して何が楽しいんだか」 ｢いちいち腹を立てていてもしょうがない。気にしないのが一番だ。見ている人はちゃんと見ているんだから」 卯月さんがマグカップを手に台所に入ってきた。