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十矢さんの帰宅
保育所から帰って来た心春は庭で太惺くんと心望ちゃんと一緒に紗智さんと那和さんと譲治さんとさっそくシャボン玉遊びをはじめた。きゃっきゃっとはしゃぐ元気な声が響いていた。
「勝手なことをされたら困ります」
紫さんの声が聞こえて来た。
「誰か止めて!」
何事かと思い体を起こそうとしたらがらっと乱暴に戸が開いた。
「……十矢……さん」
「俺の結は?俺に会いたくないからって仮病を使って隠れていることくらい分かっている」
最後に会ったのは半年くらい前だった。顔の印象がだいぶ変わっていた。優しく笑ってくれていたのに冷たい態度で目つきも鋭かった。僕の知っている十矢さんではなかったからよけいに怖いと感じたのかもしれない。
「お姉ちゃんは隠れてなんかいません。具合が悪くて入院しています」
よろよろと起き上がった。
「これは和真の差し金か?それともきみか?」
十矢さんが肩に掛けていたバックから取り出したのは離婚届だった。お姉ちゃんの名前が既に書いてあった。
「離婚届にサインしない時は裁判離婚の手続きをとると千里に言われた」
「十矢さん、立ち入り禁止と卯月に言われませんですか?」
「さぁ~~覚えていないな。橘は?いるんだろ?」
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