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両手に花
藍色の夜空にまんまるい月が煌々と輝き無数の星が瞬いていた。ペンションは森の中にひっそりと建っているからかしんと静まり返っていた。たまに聞こえてくるの動物の鳴き声だ。熊や猪や狐や狸が生息していると惣一郎さんが話していた。子どもたちを寝せてからリビングに戻ると酒盛りの真っ最中だった。
「四季おいで~~!」
千里さんに手招きされた。
「ほら、和真からも四季を呼んで。一緒に呑もうって」
「は、はい。四季おいで」
彼に呼ばれ、空いていた彼のとなりに車椅子を移動させた。
「麦茶でいい?」
「うん、ありがとう」
彼からコップを渡され、ペットボトルの麦茶を注いでもらった。
「遥琉お兄ちゃん、両手に花でいいなぁ~~」
「千里、あまり飲み過ぎるなよ」
「分かってるって」
卯月さんや未知さんたちと再会しお酒がどんどん進み、千里さんはすっかり出来上がっていた。
未知さんのお祖父ちゃんと、卯月さんのお父さんと、惣一郎さんたちも酒を呑み交わしながら世間話をしたりと大いに盛り上っていた。
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