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斉木先生親子とウーさんと陽彩くん
「遅くなった」
斉木先生がウーさんと仲良く一緒に姿を現した。ベビーカーには陽彩くんがすやすやとねんねしていた。
「ウー会いたかったわ~~!」
千里さんがぶんぶんと手を振った。
「千ちゃん飲み過ぎだと言ってる」
「こんなの飲んだうちに入らないわよ」
「アイラブ 千ちゃん。待たせて悪がった」
白衣姿の男性がカバンを脇に抱えて
「休日担当医だったんだ。夜の七時過ぎまで患者さんがいてなかなか早く来れなかったんだ」
「けんちゃん待ってたわ」
千里さんが笑顔で手を振った。
蒼生さんが席を立ち、ここにどうぞと案内した。
「ほんとにいいのか?千ちゃんの隣に座っていいのか?」
「滅多に会えないんです。遠慮せずどうぞ」
「蒼生さんがそこまで言うなら座らせてもらおうかな」
照れながらも嬉しそうに千里さんの隣に座る斉木先生。
千里さんからコップにビールを注いでもらうと、
「長生きするもんだな。おら、いつ死んでもいい」
感動のあまり声をあげて泣き出した。
「白衣姿の男は斉木先生の父親だ。名前が健太朗《けんたろう》だからけんちゃんだ。ちなみに斉木先生の下の名前は健一《けんいち》だ」
卯月さんが分かりやすく補足説明をしてくれた。蜂谷さんの下の名前が空大《こうた》だとはじめて知った。
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