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第3話

学院から電話が来て次の日、迎えの者と思われる車が家の前に停まっていた。 恵は電話が届いてから、うんうん頭を悩ませていたが突如家のインターホンの音がし、急いで画面を見た。 「宅配……?」 なんだろう、と思いながらも扉を開けると宅配の業者と思われる人達が大量に家に流れ込んできた。 すると、家の家具をせっせと運び始める。 流石に、恵も驚き声をあげる。 「えっ?…あ、あの」 おろおろし、戸惑う恵に業者は気付き、ふと動きを止めた。 「家の家具は全て学院の寮に配送する予定ですので、ご安心ください」 何を思ったのかそのような事を恵に告げ、また作業を始めた。 そして着々と作業は進められ、家の中はもぬけの殻となった。 「では我々はこれで失礼します」 「え、ちょっ…」 そう言って宅配業者の人達は適当な一礼をしてもぬけの殻となった家と恵を残し、行ってしまった。 次の日、約束通りに迎えの車に乗せられ学院へ向かうことになる。 そして、今日学院に着いたのだが……… 「あれ、ここで合ってるんだっけ……」 ははは、とわざとらしく乾いた笑い声をあげ、両手に持ったパンフレットと携帯電話を見詰めた。 確かにここであってるはずなんだけど………。しかし目の前の光景にこれが学院なのかすら怪しく思った。 「………学院っていうレベルじゃないと思うけど……」 そう___恵の想像していた、と言うより理想としていた学院とは遠くかけ離れた光景だった。 ……うん、やっぱり違う。ここじゃない…。こんな何処かの豪邸みたいな屋敷が学院な訳が……… 「……あれ?君、どうしたの?」

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