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第5話

~学園側視点~ ギシリ、と鈍そうな音を立て椅子が揺れる。 その椅子に座る人物__西城結栄学院理事長、結栄政頼は控えさせている理事長補佐に目を向け、訪ねた。 「仲田、確か今日だったな、あの転入生が私の学院に入学してくるのは?」 理事長補佐__仲田は一秒の繰るいなく質問がされるのを待っていたかのように軽やかに答えた。 「はい、理事長。転入生…畑瀬恵様でございますね。もう既に学院に着いているる頃だと思われます。……それが如何されましたでしょうか?」 仲田は多少に___本当に少しだけ不安げに聞いた。問題は何一つないはずだ、と。 「……いや。この資料を見ていたのだが……仲田、私の選択は間違いだったと思うか?」 理事長が珍しく私情を挟んで疑問を口にしてきたのを、仲田は内心驚きながらも、いえと答えた。 「まだ判断はできかねますが、畑瀬様をこの学院に入学させた事に関しては特筆して問題はないかと思われます。……どちらかと言えば………いえ。これは失礼でございますね」 仲田は曖昧に口を閉じた。 「いい。続きを」 仲田は、開いた口をすかさずまた開き、心の内で思っていたことを打ち明ける。 「……この学院の生徒達にとっては、壊れたあの子__畑瀬様と交流することは始めてなことではないかと思います。普段から我が学院の生徒は、ああいうタイプ、もとい、ああ言った心に闇を抱える生徒に対して耐性がありませんから」 理事長はふむ、と唸った。 壊れた生徒__畑瀬恵か。 この学院で、その壊れた体と心をどうするのか。 それは彼次第だ_____。 理事長はそう静かに呟き、仲田を下がらせた。

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