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第6話
「君が畑瀬恵君ね。私は、君のクラス担任の竹島青海です。これから、宜しくね」
そう言って俺ににこり、と笑いかけ担任__竹島先生はそう言うとすくっと立ち上がり、ちょいちょいと手招きをしてきた。
数分前に、通りかかった学院の2年生__蛍に正門の場所を教えてもらい、無事中に入ることができた。
入った途端、見つけた!!という声と共に、俺を探していたと言う先生達に直ぐ様連行され、職員室に連れてこられて現在に至る。
この学院は男子校と聞いていたので、教師も含めてそうなのかと思っていたが、どうやらそれは間違いらしい。恵は、目の前の担任を眺め、率直にそう思った。
担任に手招きされたのを不思議に感じながらも俺は、すすす、と近寄る。
「……?」
「恵君、ここ、触ってみて」
そう言って担任がちょいちょいと指を指す場所は___胸の辺りだった。
……………え。
恵は呆然としながらも、訳が分からないと首を横に振る。
「いいから、いいから」
そう言って担任は無理矢理俺の手を掴み、胸を触らせた。
腕を握る力が異様に強い……体育会系ってやつだろうか?
恵をそう思わせたのは、胸を触ってしまった瞬間だった。
所謂、ぺったんこ、というやつだった。
「…あの……先生って教科体育を、担当されてますか?」
ふとそのような呟きと共に、本日2度目にして、大声で笑われた。
よくよく見れば、回りの教師も含め何故か皆、クスクス笑っているように見えた。
「ははははっ……そっちにいっちゃうんだね。ふふっ私の教科は公民。体育会系でもなんでもないよ」
「え、でも……」
担任__竹島は、そう言うとひらりと履いていたスカートをめくりあげた。
「え」
そこにはパンツの上からはっきりの分かる、男性特有の性器のようなものがもっこりとなっていた。
恵は全くもってそういうものに対し、興味がないので反応しようがない。
ただ恵でも驚けた事は___
「私は男です。男。本名は竹島勇次。でも青海さんって呼んでくれていいからね、恵君」
恵は、苦笑気味な笑顔で笑った。
ふと恵は思った。
「…………楽しくないのに笑えるわけないなんて、誰が決めたんだろ」
目の前の担任に聞こえないような小さなそんな呟きと共に、恵は担任に笑いかけた。
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