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四時間目
つってもなんて題名だったけかな
なんか恋愛?がテーマのやつだった、ような違うような....
てきとーに手にした大きめのサイズの本
「ロミオとジュリエット?」
パラッとページを捲って見るも多すぎる活字に直ぐに閉じてしまう
俺には無理!これは読めない!
図書室に来てあいつの読んでいたであろう本を手に取ってみたものの
当然何か情報があるわけでもなく
本を借りればその本に名前が書いてある紙?みたいなのがあるって前誰かに聞いたことがあったからきてみたのにそれもないし!
「はあ〜....」
「探し物はあったか」
「うわっ!?って、あんたか〜びっくりした」
ぬっと後ろから現れたのはここの鍵を開けてくれた図書委員クンだった
見た目的に全然図書委員感ないんだけど人ってわからぬものよな〜
「ぜーんぜん!借りた人の名前が書いてある紙を探してたのにないし!」
「いつの時代の話だよ....それは個人情報保護のために随分昔に廃止されてるぞ」
「え!?そーなの!?んだよ〜」
「お前そんなの調べればすぐにわかっただろ」
「調べる時間も惜しいくらいだったんだよ~」
はあ、ともう一度ため息をついても何にもならない
どうしようかなーせっかくここまで来たのになー
人探しがこんなに大変だとは.....猫の手も借りたいってやつだ
「なあなあ、名前も知らない奴を探すってどうしたらいいと思う?」
「は?」
「難しいよな〜俺もうわかんないんだよな」
「.......」
もう一度どう思う?と聞こうと思って顔を見ればとても険しい表情をしていた。
あり?なんか俺不味い事聞いた?
「なんでそんなに知りたいんだよ」
「へ?」
怒られる!と思っていたため間抜けな声が出る。
なんで?なんでか.....そういえばなんでだ?
「ンー、わかんねーけど知りたいって思ったから。名前も顔もわかんないけどなんか気になるんだよね」
「会ってみて、自分の思ってる様なやつじゃなかったらどうすんだ」
どうする?そんなの決まってる
「別にそんなのはどうでもいいよ、ただ俺はちゃんとあいつを知りたいだけだし、あわよくば仲良くなれたらなーって思ってるだけだから」
俺の言葉に図書委員クンは何も返さずただじっと考えてるみたいだった
俺は難しいことはよくわかんないし、なんとかなる精神で生きてきたからきっとこれからもそうなるんだ!多分!
「....もし、お前が探してるやつが恋愛としてお前のこと好きだったらどうすんだ」
「好きなら、それって嬉しくない?好かれて嫌なことなんてないっしょ。ってかここ男子校だしあんまりなくないかそういうの。それに俺だけじゃなくて向こうも俺の事知らないしわかんないと思「俺は知ってた」え?」
図書委員クンは自分の口を抑えてしまった!という顔をした。
俺は知ってたって、どういうこと...?
訪ねようとすれば踵を返して走り出した図書委員クン
「え!?ちょ、待って!」
「着いてくんな!」
「いや、逃げるからだろ!?」
脱兎のごとく逃げる図書委員クンを追いかける。
今が授業中だということも忘れて必死に
残念!俺はこれでも運動大好き侍だからな!逃がすかよ!
さっきの話とかどうでもよくなってただただ追いかけるのに夢中になる
「え、」
と、ある所に目がいった
上履きの踵の部分。
俺の学校は上履きの踵に自分で名前を書くんだけど、その文字にすごく見覚えがあった。
「はっ、くそっ、行き止まり....」
「やっと、追いついた。」
肩を上下に揺らして必死に行きを整える姿が面白くてへらりと笑ってしまう。俺はぜんっぜん息乱れてないし!
なんて思ってても脳裏に浮かぶのはやっぱりさっきの文字
ここ暫くずっと探していた文字の持ち主....
「ねえ、もしかして君がそうなの?えと、菅谷くん?」
「っ、名前.....」
「ああ、ごめん。さっき走ってる時上履きの名前が見えて」
俺より高い身長、つまり小さくない身長に
ワイシャツの隙間から見える黒のインナー
見た目は不良っぽい明るい髪だけど、ちゃんと校則を守って上履きに名前書いちゃうくらい律儀というか真面目
それに、
「俺の事知ってるって?」
「...」
顔を近づければぶわっと赤くなる頬
わあ、なんか可愛い。
同じ男に、しかも自分より身長が高いやつにこんなこと思うのは変なのかもしれないけれど
あ、そういえばなんだっけ。さっきの話
「俺の事、恋愛的な意味で好きなの?」
「....っ!」
俺と目を合わせないように逸らしていた視線が泳いで耳まで紅くなっている。
顔を覗き込むと、ぎゅっと結ばれた瞳に心臓が跳ねる
え、わ、なにこれ、え?
気づけば俺まで頬が熱くなっていた。
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