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さわられた
出来たての指とは思えない程器用に指は動いた。
オレの頬や顎を優しく撫でた。
真っ白な指はおおきくて滑らかで熱かった。
爪まで磨き抜かれた大理石のように白かった。
「舐めるだけじゃなく、触りたかった」
いきもの、いや男の声は低くて、なんか頭をぼんやりさせる。
撫でられる感覚に戸惑い、でもその優しさに酔った。
オレを育てた人たちはそんなに優しくオレを触らなかった。
「手や脚や指があるといいな。お前にもっと優しくしてやれる」
男は言った。
「もちろん、舌も使う」
そう言って、オレの唇を優しく舐めていく。
いきものがしたみたいに。
でもいきものとは違ってその舌はオレの唇を割って中に入ってきた。
熱い舌がオレの口の中を舐める。
優しく。
優しく。
舌を見つけ出し、絡めて慰めるように擦り合わせられた。
呻いた
ぼんやりして心地良くて気持ち良かったからだ。
流し込まれる唾液が甘くて美味しかったからだ。
「美味いだろ?気持ちいいだろ?オレはお前に優しくしたい」
男は言った。
その指はもうオレの服を脱がせていた。
着たくもないスーツやシャツや、ズボンが床に転がっていくのは嬉しく感じたけれど、下着が脱がされるのは恥ずかしかった。
だって男は嬉しそうにオレのペニスや乳首に触れながら脱がすからだ。
「指はいいな。触れるのはいい。だがここも舐めてやろう。舐められるのは好きだろう?」
とんでもないことを言われているのに、楽しげに弄られているのに、抵抗できない。
というより気持ちいい。
「ああ、舐めるより先に沢山触りたい。指はいい。指があればお前に沢山優しくできる」
男は髪を撫で、オレの首筋をなでながら言った。
男が生まれて初めての「触る」ことを楽しんでいるのがわかった。
いつの間にかオレは床の上に男に膝抱きにされていた。
素っ裸で。
「ここ、いいな。沢山触りたい」
男が腹や脇腹を撫でさすった結果気に入ったのは乳首だった。
「ふく、を脱がせて身体を見たかった。やはり可愛い。可愛いなぁ。ここ、可愛い」
指先で乳首を摘ままれ、優しくすり合わされた。
あひっ
変な声が出た。
そんな自分が信じられなかった。
誰とも付き合ったことかなかった。
人間が怖くて。
触れ合うのが怖くて。
こんなに優しく自分に触るモノがいることが信じられなかった。
「可愛い身体だ。可愛い。沢山さわらせて?」
男は優しく言うのだ。
そして乳首をやさしく弄り始めた。
指で乳首がとがるまで優しく撫でて、尖りはじめたなら指先で擦り合わせ、凝ったそこを優しく押し潰して快楽を柔らかく引き出していく。
ああっ
あっ
ふぅ
オレは自分の唇からこんな声がでるとは思わなかった
「ここは生殖につかうんだろ?オレはお前を愛するために身体を変えた。愛させてくれ。お前を愛するために必要なモノはもう全部ある」
いきものは言った。
いきものがその姿になった理由を知った。
生殖。
いやでも、オレは男だぞ。
いきものは間違っている。
でも、そう言いたかったのに、指の優しさに言えなかった。
「沢山触る。この指はお前に触れるためにある」
いきものはオレに囁いて、そしてそれを証明した。
指はいやらしくて。
優しくて気持ちよかった。
オレは胸を弄られるだけで勃起していた。
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