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結婚式

 今日は、キョウと俺、レイとリイの結婚式。 何と言うか、ここまで盛大に祝われるなんて思っていなかった。正直引く。 魔族の総人口は知らないが、魔王城の周りに何千、いや数万?もの魔族が集まって来てるんだ。 魔族が信仰する神はいない。その代わり、力と魔力、契約精霊の格で選ばれた魔王様を崇拝する魔族が多い。 先代魔王様のジュンさんも絶大な人気があったが、キョウの人気もなかなかに高い。人族とのハーフでありながら凄まじい力と魔力を持つ、先代魔王様の息子。レイの格もさることながら漆黒の翼が大いにウケているようだ。 実は契約精霊の翼で漆黒や純白は珍しい。そもそもレイのように全身が漆黒な精霊は他にいないし、ココのように全身が純白(虎の模様はあるが)な精霊もいない。 他の色が混ざっていない方が精霊としての格が高いんだって。 白でも大概は他の色味を帯びている。ルーやクーのようにね。それでも白に近いルーやクーもなかなか格が高いんだ。 ちなみに黒白猫もリイ以外いないっぽい。 なので、キョウレイになり、漆黒の翼をはためかせた魔王様には圧倒的な人気があった。 そんな魔王様の嫁な俺だが、リイが黒白猫のおかげでアスリイの時には純白の翼を持っている。それが功を奏して、人族なのに概ね好意的に受け入れられたようだ。世襲制じゃないから王妃が男でも特に問題はないみたい。 で、この結婚式の当日、魔王様と王妃様の門出を祝おうと、大勢の魔族が魔王城に押し寄せたってわけ。 あっ、ちなみにこの世界の成人は十五歳からで、結婚もその歳から出来るのでご心配なく。 式そのものは魔王城の中で、親しい魔族と人族だけで簡単に済ませた。 人族からは、母さんとユイくん、それにそのご両親の人族の王様ご夫妻。王妃様であるカコ様は、キョウのお母さんでもあるからね。 何年振りかは知らないけど、キョウはカコ様に会っても「よく来てくれた。」って言っただけ。でも、カコ様は涙ぐんでたから良かったと思う。ジュン様とレンさんにもきちんとあいさつしていたし、カグヤちゃんにはハグまでしていたからね。招待状を送って本当に良かったよ。 魔族からは、先代魔王様ご夫妻、カグヤちゃん、シグ、ランさんとその息子のリンくん。カイさん。後は先代魔王様の頃から国を支えている上位魔族の、ナオさん、ヒロさん、アキさんとその息子のコウくんだ。 この上位魔族の方々は、前世ではMAGのメンバーだったんだ。それぞれみんな契約精霊がいるけど、その紹介はまたの機会に。  さて、魔族の民のみなさんにお披露目の時間。魔王城のバルコニーからキョウと二人で顔を出す。黒のタキシードを着たキョウと、白のスーツの上に、真珠を散らしたヴェールを巻き付けたような俺。 頭には大きなダイヤが輝くティアラと、これまた長いヴェール。 もちろん本日のもう一組の主役、レイとリイも一緒だ。リイもティアラとヴェールを付けている。 この推定数万の魔族が魔王城に押し寄せて来ると見込んで、周りの宿泊施設などを整えるのに半年かかったらしい。 ジュンさんとレンさんの時にはこのお披露目をしなかったにもかかわらず、数千の魔族が集まり大混乱になったとの事。結局先代魔王夫妻は姿を見せないし、魔族の民に結構な不満が残っていたんだって。 だから俺たちの結婚式でこのお披露目は必要不可欠だ!って上位魔族の中で決定されたんだ。 まぁ、他には特に反対もされなかったし、お披露目くらいしようって軽い気持ちでキョウを説得した俺を過去に戻って止めたい!! だってこんな大事になるとか思わないよねっ?! 仕方がないから、笑顔を貼り付けた顔で手を振る。キョウが安定の無表情なので俺が頑張るしかないっ! ん?憑依しろって? はいはい。 キョウはキョウレイになって漆黒の翼をはためかせ、俺はアスリイになって純白の翼を解放する。 数万の魔族からの拍手と大声援。おめでとうの嵐・・・ここまで祝福されるとは思ってなかったから、ちょっと、いや、かなり感動して目から涙が溢れた・・・ キョウレイに大観衆の前でキスをされる。しかも結構本気のやつ。アスリイモードの時にこれはヤバい・・大観衆の前で精神的に繋がり、イキそうな俺にキョウレイが耳元で囁く。 「夜まで我慢しろよ。この大観衆の前でイキたいんなら話は別だが。王妃様がイキ顔を晒すわけないよな?」 いや、そう、そうだけどもっ!! なら舌入れるなよっ?! その後、二人で魔王城の周りをゆっくり飛びながら魔族の民に手を振る。なのにキョウレイがずっと精神的な愛撫をして来るんだよっ?!!  はぁ、やっとお披露目が終わった。 数万の魔族の民も、何とか解散してくれたようだ。交通整理?も大変だったろうな・・・ 魔族城に戻り、結婚式に参列してくれたみなさんと会食だ。 順番にあいさつをしていく。親しい人や魔族ばかりなので気が楽で助かる。 おっ、初対面のリンくんだ。前世のランさんにも息子さんがいたけど、まだ小さかったはず。けどこのリンくんは俺よりちょっと下くらい? 「初めまして魔王様、王妃様、ランの息子のリンと申します。こっちは僕の契約精霊でユキヒョウのネルです。この度はご結婚おめでとうございます。」 「ありがとう、リン。」 「初めまして。王妃になったアスラです。こっちはリイ。ランさんにはいつもお世話になってるよ。リンくんは何歳?俺とそんなに変わらないよね?」 「十四歳です。」 「そうなんだ。俺と二歳違いか。仲良くしようなっ!」 「はい、ありがとうございます。よろしくお願いします。」 十四歳なのにすごく落ち着いてるなぁ。クールな美人さんだ。流石ランさんの息子。 次も初対面のコウくん。上位魔族のアキさんの息子さん。 「魔王様!王妃様!本日はおめでとうございまっす!!オレはアキの息子のコウです。こっちはオレの契約精霊でウンピョウのジン。いやぁ、王妃様がこんなに可愛いとは思わなかったなぁ。」 「・・・消されたいのか、コウ?」 「ひっ、魔王様!やだなぁ、でも王妃様が可愛いのは事実でしょ?」 「・・・まぁな。」 「ありがとうコウくん。アスラです。こっちはリイ。君もリンくんと同じくらいの歳かな?」 「はい!オレも十四歳でリンとは恋人・・・」 あっ、リンくんが戻って来た。 「誰がだよっ?!王妃様、違いますからね?ただの同級生ですから!!」 「あっ、うん。ま、まぁ、コウくんもよろしくね。」 「・・・お前らうるさいから消えろ。」 あっ、母さんが遠くからコウくんとリンくんをロックオンしてる!新たな推しカプが出来て良かったね! まぁ、そんな感じで和気あいあいと会食は終わった。

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