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第7話
ランディとネロ、アル、リーラは村人達を避難場所に置いて家に戻ってきた。
周りには誰もいない。
「この先に干からびた川があるだろ」
と、ランディは指を指す。
「そこに、山からの水を流すんだ。水に路を作ってやれ、流してやればいい。それには君たちの力が必要だ。ネロ、山の水と話をして流すように伝えてくれ。アル、風と会話して水を先導してやってくれ。リーラ、君は大地にそれを伝えるんだ。川の場所を水に教えてやって欲しい」
ランディが指示を出す。続けて不安な顔をしている三人に笑顔で伝える。
「いいか、君たちのことは俺が守る。
無茶はしない。危なくなったらすぐに三人まとめて抱えて走るからな。その時は俺の体を離すなよ」
その言葉を聞き、三人は頷く。
ネロ、アルはそれぞれに話しかける。リーラは大地に向かい手をかざして場所を伝える。
ゴゴゴォと水、風の音がし大地が揺れた
振り向いて川が見える場所まで走ると、
干からびていた川に山からの水が凄い勢いで流れていくのが見える。ランディのいう山の水を川に流す計画が成功したのがわかった。
「これからは山の水が溜まったらあの川に流れるようにと伝えてくれ。アル、ネロ出来るか?」
「できる」
「言ってみる」
いつになく二人は真剣な顔をしている。
ネロとアルは、水と風に伝えた。
これからは、あの川に水を流してくださいと。
「誰も悪くないんだ。山も水も風も。たまたま不幸が重なることはある。君のせいでも、君が悪かったことでもないんだよ」
リーラに向かいランディは優しく伝える。ランディは知っていたのだ、リーラが自分を責めていることを。
力を持っているから不幸になると思っていたことを。
座り込むリーラにランディが手を差し伸べる。大きな右手を掴むが立ち上がらない。
「腰抜けたと…思う」
リーラは初めて大掛かりなことを成し遂げ、腰が抜けてしまったようだ。
ランディは笑いながらリーラを抱え上げ、家に向かう。
「おーい、チビ助ども行くぞ。家のドア開けてくれよ。リーラを寝かさないとな」
と歩き出した。
部屋に入るとベッドに優しく寝かされ、髪を撫でられる。ランディはこれから避難場所に行ってみんなに伝えてくると言う。
「大丈夫だ、誰にも言わない。山が勝手に水の新路を作ったと言う。みんなは安心出来れば大丈夫、問題ないだろう。君は少しここで休んでいてくれ」
最後にもう一度髪を撫でられ、そのまま頬も撫でられた。
寝室のドアを閉めた後、声が聞こえた。
「おまえら、よくやったな。えらかったぞ。少しの間リーラを頼む。疲れてるから寝かせてやれ」
はーいと小さな声がふたつ聞こえた。
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