20 / 52

第20話

寝室で寝る準備をしているところに、アルとネロがモジモジとしながら来た。 「どうしたの?二人とも。さあ、おいで一緒に寝ようね」 「今日はお前ら真ん中でいいぞ」 昨日は一緒ではなかったから、きっと寂しい思いをさせたはず、今日は二人を真ん中にして寝かそうと、ランディと話していた。 「あ、あのね…明日の朝早くに騎士団の練習があるんだ。僕も教えてもらう約束してるのレオンと。だからね、今日はあっちで寝るね。ごめんね」 「うんっと…僕もね、天体望遠鏡で星を見る約束しててクリオスと。あのね、すごいんだよ。何でも教えてくれるの、クリオス。あ…だからね、僕もあっちで寝るの。ごめんね。明日は多分、一緒に寝れると思う」 二人はそそくさと行ってしまった。 昨日は王宮内の皆さんが協力し双子を寂しくさせないようにと、色々なことを仕掛けてくれていた。だが、みんなの予想に反してネロはレオンに、アルはクリオスにべったりだったそうだ。 ネロは騎士に憧れているらしく、訓練や練習をやりたがり、水を使った剣をレオンと考えて創り出したそうだ。昨日はそのまま騎士達の部屋に泊まったという。 アルは図書室に入り浸りで、ことあるごとに質問攻めをし、答えられるのは宰相のクリオスだけだったようだ。驚くような質問をする時もあり、昨日はそのままクリオスの部屋で寝ていたという。 唖然としたのはリーラとランディである 「行っちゃった…」 「今まではランディ、ランディって言ってたのに、あっさりしてたな」 「えー、僕が寂しいです」 「だよな、俺もだ」 寝室は二人だけになる。 「まあ仕方ない、子供は成長するもんだっていうからな。俺たちだけで寝るか」 「そうですよね。でもたった一日でこれだと、この先もっと寂しくなりそう」 リーラと名を呼び、手を引かれる。 毎日毎日ランディは手を取り引いてくれる。ベッドに横になると、前からランディがすっぽりと抱きしめてくれる。昨日の記憶がすぐに甦り、リーラはカァッと顔が熱くなった。 「俺が寂しい。ギュッとしてくれ」 そう言いつつも、ギュッと抱きしめてくれているのはランディの方である。 フフッとリーラは笑ってしまった。 「なんだ?」 「いいえ。寂しいからギュッとしてくれって言う割には、ランディがギュッとしてくるなぁと思って」 「リーラだって寂しいだろ?」 急に甘い声を出すのはやめて欲しい。 抱きしめながらキスをされる。鼻にもおでこにも頬にも、そして唇にも。 「んんっ。ダメ、ダメです」 キスが深くなってきたところに、小声でランディを嗜める。 「なんで?キスくらいいいだろ?」 「だってこのベッドは四人で寝てる所でしょう。もし、あの子達が戻ってきたらどうするんですか」 「仲良くしてるなって思うだけだろ。俺は大丈夫だ。全く問題ない」 「僕は大丈夫じゃありません」 「うーん、じゃあこっちならいいか?」 そう言いリーラを抱き上げ、部屋からバルコニーに出る。バルコニーの先には湯浴みができる所がある、そこまで抱き抱えられて行く。 「も、もう。ランディ、降ろしてください。誰かに見られちゃう」小声で抗議するもランディは機嫌のいい顔でゆったりと歩いて行く。大きな男は歩幅も大きい、だけどリーラを大切そうに抱きしめ、ゆっくりと歩いている。 「わかった。人払いしてくるからちょっと待っていてくれ」 リーラをベンチに降ろし、頭を撫でた後、人払いをしに行った。 「もう誰もいないぞ。一緒に湯浴みするか。昨日は疲れたからな」 抱き抱えられ、寝衣のまま二人で湯に入る。 まだ甘い時間は続いていた。

ともだちにシェアしよう!