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第25話
籠に水を入れ荷馬車に積み込み、数百頭の馬が水を放つ土地へと向かう。馬の編成は、三つの班が交替で人も馬も休ませながら効率よく運ぶことになる。
国王陛下のランディを始め、リーラ、ネロ、アルは現地に向かい計画を遂行する。これが上手く行けば、ネロはレオンと一部の騎士団に連れられ城に帰り、水のボールを作り籠に入れる作業を行う。
アルは現地にリーラ達と滞在し、風と話をして、水を土に放つ作業をする。
初めて双子が離ればなれになり、リーラもネロと離れることになるが、ネロ、アルの本人達は意外にもケロッとしており、寂しいよりどちらかというと、わくわくとしているようだった。
ネロはレオンの馬に乗り、アルはクリオスの馬、リーラはもちろんランディがライズに乗せて目的地へと向かっていた。
「僕も馬に乗れるようになりたい!」
「僕も!一人で乗れるようになりたい」
双子の好奇心がムクムクと動き出してきたようだ。
「そうだな。これが無事に終わったら、褒美として一頭づつお前達に与えるとしよう。ちゃんと世話をするんだぞ」
「「やったー!」」
願っていた事のそれ以上が急にやってきて、双子は大喜びである。それぞれ乗せてもらっている馬の背の上で、嬉しそうな声を上げている。
「ちょ、ちょっと、ランディ、馬って」
「リーラはダメだ。俺が乗せる」
「僕は馬に乗れませんから、いいんですって、そうじゃなくて。馬なんてそんな凄いご褒美を…」
「これからは必要だろ。レオンもクリオスもいるから危なくない。すぐに乗れるようになるだろう」
ランディは双子をかわいがっている。
学業や剣の稽古など、やりたい事をやらせてくれているので、最近は双子を王宮に置き、いずれはこの国の重要な役割をする人間となるように育てているのではないか、という噂も出ている。双子が幸せであればいいのだが、リーラは複雑な心境であった。
「リーラ、心配か?馬に乗るのは、危ないと思ってるのか?」
「い、いえ…そうじゃなくて…なんだか、成長が早くて僕だけ取り残されてる感じです。遠くに行っちゃいそうって」
「俺がいるだろ。ずっとそばにいる」
そう言い、後ろからリーラの髪にキスをし、頬を撫でるから、リーラは危なく声が出るところだった。馬に乗っているとはいえ、周りにはたくさんの人がいる。少なくとも数人には今のキスを見られたはずだ。
「や・め・て」と口パクでリーラはランディを睨みながら言う。
「な・ん・で」とランディも口パクで返してくるが、その顔はニヤけている。
もう…と小声で呟くが、実際はリーラもニヤけないように必死である。
周りも二人を見ないように必死であったことは、ランディもリーラも知らない。
葡萄畑が見えてきた。
もう間もなく到着となるだろう。
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