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第27話
滞在場所を作り上げてた後、枯れた土地へ水を放つ準備を行う。少し離れた場所に畑が広がっている。土地を活用する人々が言うには、ここ数日は日照り続きで地面が、からからに乾いてるそうだ。更に日照りが長く続くと農作物に大きな被害が出てしまうだろう。
ネロとアルが作ってくれた水のボールが入った籠を、点々と地面に置いていく。遠くまで見事に並べられた籠を、リーラは眺め、地面に手を置き鼓動を確認する。
「やっぱり、キシキシと痛むような感じを受け取ります。表面の土も、中も熱くてかわいそうです」
辛うじて実が生っている木も、このままだと枯れてしまう。
「少しでも早い方がいいな。よし、今から出来るか?ネロ、アル」
「やってみる」
「うん、やるよ」
ネロとアルはランディに言われ、水と風に話しかける。一晩で籠を解き、水と草を土に還らせてくださいと、風を吹かせるのは籠の周りをクルクルと回ってくださいと伝えていた。リーラも地面に手を置き、水が浸透するよう働きかけた。
「明日の朝、また来てみよう。ありがとうなネロ、アル」
双子は誇らしげにランディを見上げている。ランディも嬉しそうに二人の頭を撫でている。その三人が同時に振り向き、笑顔でリーラの名を呼んだ。
「よーし、それじゃあ、今日は一緒に寝ようか」
嬉しくなって三人の元へ駆け寄り、リーラはそう伝えた。
「「久しぶりだねー!」」
国王陛下が滞在するので、ひときわ大きいテントが作られていた。中はベッドだけが置かれているが、そのベッドも大きく広い。双子はもう既にベッドの上に乗り、はしゃいでいる。久々なので寝る順番を決めているようだった。
「決まったのか?順番は」
ランディがテントに入ってきて、双子に聞いた。
「決まったよ。今日はリーラ、ネロ、僕でランディだよ」アルが教えてくれる。
「やっぱり俺は端かよ。まぁいいか、今日は疲れたから早く寝るぞ。明日の朝、様子を見に行くもんな」
「久しぶりに一緒に寝るからワクワクしちゃうな。ネロ、ギュッてしてもらいたい?」
予定では明日ネロは城に帰る。ネロが城に帰り、残りの水のボールを籠に詰める
作業をする。先に城に帰るのはやっぱり寂しがるだろうと、リーラはネロを構おうとする。ネロは一瞬無言となりその後口を開き言った。
「リーラがギュッてしたいんならいいけど…僕、もうそんなに子供じゃないんだよね」
「えーー!」
思わず大きな声をリーラは出してしまう
「僕もさ…リーラとランディが寂しいなら、ギュッてしてもいいけど…」
「えーー!」
アルにもそう言われてしまい、また大きな声を上げてしまう。
「「「リーラ…」」」
声を上げるから、三人に「静かに」と
窘められる。
ここのところ双子の成長は著しく、逞しく育っていると感じてはいたが、こうはっきりと言われると、二人が離れていきそうでリーラは動揺してしまう。
「どんどん大人になってきたな。ではこうしよう、今夜は話をしてくれ。お前達の口から色々と聞きたいと思うぞ、リーラは」
ランディが言うように、色々な事をしているのは聞いている。ただ確かに本人達から直接聞くことはそんなになかった。
「えっとね…僕は最近、風が吹いたり、風が起こる理由を勉強してるの。勉強好き。クリオスも色んなこと教えてくれるし、わかるとすっごく楽しい。あ、それでね、風にお願いして色々やってみてるんだ。小さい箱に風とお花を入れて、ぎゅーぅとさせてから、いいよって声かけるとパンッて風とお花が出てくるのを作ったよ。みんなに見せたら喜んでくれた」
「僕はね、毎日訓練してるんだ。騎士団の人達と一緒に朝と夕方にやる。勉強はちょっとやりたくないけど、それでも楽しい勉強もあるよ。あ、後はね水で出来たと剣と盾を作ってレオン達に見せたんだ。水の盾はね、水も抑えることが出来るんだよ。水で水を抑えるのってすごいって言われたんだ。だけど直すとこが多くってさ、今悩んでる」
その日は久しぶりに四人一緒にベッドに寝て、ネロとアルの話をランディと二人で聞いた。急激に大人びた二人の話に、ランディとリーラは耳を傾け胸を熱くする。双子も自分の話を聞いてもらえるのは、嬉しそうであった。
「おい、もうそれくらいにして寝るぞ」
ランディの声に安心して今日も眠れる。
リーラは寝ているネロを抱きしめた。
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