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第35話

「リーラ、大丈夫か。無理させてしまった。何か欲しいものあるか?水か?」 お互い急激に求め合ったが、いつにも増して荒々しかったとランディは自覚をしているようだ。 リーラは、湯浴みで身体を綺麗に洗い上げられ、寝台まで運ばれた。その後も、身支度など甲斐甲斐しくリーラを世話をするランディを眺めている。 「陛下にお世話いただけて光栄です」 「何なりとお申し付けください」 ふふっと二人はふざけて笑い合う。 「帰ってきて早々悪かった。疲れていたのにな。明日から数日ゆっくりしよう」 「ちょっとグッタリしちゃいましたけど、大丈夫ですよ」 「やっぱり湯浴みだと暑いからな、 うーん、ベッドはまだ嫌だろ?」 「ここは…王の寝室ですよ。僕がここで寝起きしているのだって変なのに」 今更だが、まだリーラは頑なに言う。 「誰も何も思っていない。俺が君といたいからって周りには言ってる。だから、何も言われないだろ?」 「そ…うですけど」 「まぁ、もうちょっとだって聞いてるし、それまでの辛抱だな俺は」 「ん?何の話ですか?もうちょっとって」 「君を不安にさせないように色々進めてるんだよ。それまでは、ここでキスするのだけは許せ」 ランディはリーラが不安になっていることを知っているのだろうか。ズキっと胸が痛くなるのをリーラは感じた。 恐らくランディは双子のネロとアルを、ここに残して育てたいのだろう。二人も懐いてはいるし、聡明な双子に周りもそのような空気になってきており、宰相や大臣達も理解を示しているようだ。この国の今後の繁栄にとっても、ネロとアルは必要で重要な人物になるはずだ。 リーラは双子を育てていたので、無下にはできない。そのため、このまま使用人として、城に置いておくように働きかけているのだろう。 だが、ランディは独身である。この国の国王であるので、いずれは妃とり、世継ぎを多く作るはずだ。その時にはこの気持ちのまま、ここにいることはできないと、リーラはそのことを考えると胸が痛くなる。いつか王宮を出て行かないといけないなと、思っている。その時は、どこに行けばいいのだろうか。 (ネロとアルが幸せになるなら…だけど離れ離れはつらいな。こんな関係にならなかったら、よかったのかな…) 悔やんでも一度知ってしまったランディへの恋心は消せない。身体も求められれば嬉しくて疼くようになってしまっている。 「こら、何を考えている?そうやって不安な顔にはさせたくない。君がずっと笑って過ごせるようにしたい」 難しい顔をしていたのだろう。おでこと頬を撫でられキスをされる。 (さっき僕を愛撫してくれた手…) 目を瞑り無意識に自分からランディの手に頬を擦り付ける。ゆっくり瞼にキスをされる。そのまま鼻にも頬にも口元にもキスをされ眠りに落ちた。

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