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第41話
山から森林がなくなり雪が降り積もると、
そのまま流れ出し、雪崩れを引き起こす。
雪崩れを起こした場所はシエイ国側であった。この辺は小さな村が両方の国に出来ており、お互いの国を自由に行き来できているようであった。村人の話によると、シエイ国側でここ数ヶ月前に森林を伐採し、農地などにする計画があり、その影響で雪崩れを引き起こしたのでないかという。
「怪我人に手当を。巻き込まれた者はいないか?」
到着して早々にランディが指揮を取る。各部隊に指示を出し、状況が明らかになってきた。夜を通して何度か雪崩れは起きていたようで、避難している人々に疲労の色が見える。
ただ幸いなのことに、孤立している集落はなく、全員救出しているらしい。手当をする部隊、人々を安全な場所まで誘導する部隊、
常に周りに目を配り次々と避難していった。
ホッとしたのも束の間、大きな揺れと音が辺りに響き渡った。とっさに、外に出てリーラは確認した。
雪煙。
雪崩れが起き煙が立ち上がっている。
その大きさは、ゆっくりと全てを包み込む動きをしていた。被害が広くなってしまう。
目の前に現れて体の震えを感じた。
それでも、できる限り近くに行き、訴えを大地に聞いてもらおうとリーラは足をもつれさせながら前に進んだ。
自然の大きさに飲み込まれそうになる。
全身を大地に集中させて手を置き、思いを伝える。リーラの母がやっていたように、大地に伝え訴えかけ始めた。
雪を払い、大地に手を広げて伝える。
(空から潤いを与えてくれたのに、土に浸透せず雪崩れを起こすことになって、ごめんなさい。人々に大地の恵みを伝えるから。森が山が悲鳴を起こさないようにぼくが伝えるから。
お願い…人々に被害がないよう、人がいない方に崩れて…必ず、ここの大地を豊かにするから)
ここに来たのは自分の役割を確認するためだと、リーラはわかっていた。母が行ったように、人が大地と共に生きていくため鼓動を感じ、その土地を最善の道へ導き、豊かにし潤すことがリーラにはできる。
(聞いて…草木豊かな大地にしましょう。もう悲鳴を上げさせない。痛い思いもさせないから、人々と共に暮らせるようにしましょう)
リーラが訴えかけている間、ランディはリーラのそばから離れず見守る。周りには他に誰もいない。ランディにもわかってはいたのであろうリーラの役割を。
山からは悲鳴のような唸りが聞こえたような気がしていた。だがリーラの周りから少しづつ、音が収まってきていた。
(伝わっている、土が、ここから温かさが広がるのがわかる。お願い伝わって)
雪が止んでいた。
雪崩れも収まっている。
時間が長くかかった気がする。
リーラの願い通り、雪崩れは人がいない後ろ側へ崩れてくれている。同時に揺れも音も止まった。
「ランディ!ここ!温かくなってきてる。この先もずっと、キシキシとした感触はない。もう大丈夫、ここの大地は悲鳴を上げてない。山からの悲鳴も、もう感じない!」
リーラは大地に手を置き、ランディを見上げて伝えた。
「リーラ、大丈夫か、俺は気が気じゃなかったが…」
ランディは大地に腰を下ろし、ここから蘇生することを誓うと、大地に手を置き伝えてくれた。
(ありがとう。僕の思いを感じ取ってくれて、本当にありがとう。これから、豊かにするように人々に僕が伝えていくから…)
大地と共に、自然と共に人の生活は存在する。お互い豊かで心地よく生きていけるようにとリーラは誓った。
「さあ、次は皆さんを安心させましょう。僕は、薬草の薬持ってきてますから手当に向かいます」
「君は強いな。よし、全員まとめて安心させるか」
避難している皆のもとに二人で向かう。
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