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第42話
騎士団を中心に各部隊が避難している人々を誘導していた。小さな村であるが多くの人が避難しており、また、隣のシエイ国の人々も一緒に避難している。
食料も持ってきているが、人数も多いため、明日からまた派遣するように手配をするのに忙しくしている。
雪崩れは発生したが、被害は少なく皆ホッとしている。転倒し怪我をした人達の手当をリーラは始めていた。
その近くでランディは自国の部隊長へ指示を出し、隣のシエイ国兵士たちにも、これからのことを的確に伝えている。
「ママ…」
「どうしたの?はぐれちゃった?」
小さな女の子が涙ぐみながら歩いているのを、リーラが呼び止めた。
「ママ一緒にいた?」
「…うん」
これだけ人の出入りが激しいので、はぐれてしまったのだろう。女の子の母を探してくるとリーラはランディに声をかけた。
「僕、一緒に探してきますね。またここに戻ってきますから」
「リーラ、俺も行く」
「ランディはここにいて。シエイ国の人たちも不安そうだし、隊長や騎士団から報告もくるでしょ。すぐにこの子のママを探してきますから」
「しかし、俺から離れたら…」
女の子は泣き出しそうだった。
「ランディ!ちょっと行ってくる。大丈夫ですから!」
「おい!リーラ」
ランディが叫ぶも、一瞬の間に各部隊の隊長らに取り囲まれて、ランディは身動きが取れなくなっていた。
「一緒にママをさがそうね」
女の子を抱き上げてリーラは歩き出す。
「ママ…」
「お母さーん。いませんかー?」
雪が止み外にも人がたくさん出ている。
自宅へ帰る人達も目にする。
恐らくこの子の母も探しているだろう。外に探しに行ってるのだろうか。
ぐるぐると広い場所を回っていたところで、娘を探す母の声が聞こえた。
「ミーシャ!」
「ママー!」
女の子はリーラの腕から飛び降り、母のところへ走り出す。探していたのよと母の声が聞こえた。
「ありがとうございました」
「よかったね、ママと会えて」
女の子の母から感謝の言葉をもらい、リーラはランディの元へ戻ろうとした時、
後ろから「おい」とリーラに声がかかった。
「お前…お前なのか、こんなことをしたのは」
振り返って見ると、見知らぬ男たち数人がリーラを睨んでいる。
「だ、誰ですか…」
「俺は、お前を知っている。変な力を持ってるよな。災いをきたす者と呼ばれていただろう。それは本当だったんだ」
昔の記憶が甦ってくる。リーラを知っているというこの男は、シエイ国で暮らしていた時に追いかけられた国の役人であろう。
「俺、さっきこいつが地面に手をあてて何かやってたのを見た」
「この雪崩れもこいつが起こしたんだ」
男に距離を詰められ取り囲まれる。
「ち、違う、そんなことしない」
リーラが反論しても聞く耳を持たない。
「こいつを捕獲するんだ」
そう男が言うと同時に首筋をトンと叩かれ、リーラは意識を失ってしまった。
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