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第47話 世界の始まり(語り:シルヴァ)

世界の始まりは、ある者は宇宙の爆発により惑星が生まれて出来ると言いい、ある者は人間が作り上げた物語から世界が生まれると言う。 それのどれもが真実で、そのどれもが虚実なのかもしれない。 その真実を知るのは、我々人類では到底無理な話。 今、多朗が送られてきたこの世界は、ある人間が創作という作業から生まれた世界なんだ。 「創作?」 そう。 世界には、たくさんの物語が溢れている。 その物語の中には、たくさんの人の目に触れて有名になるものもあれば、逆に物語の作者の周りの人間しか読まれない話もある。 でも、様々な要因から、この創作の世界が命を持つ事があるんだ。 それが今、多朗が召喚されたこの世界だ。 「……と言う事は、俺は今、本の中の世界に居るって事なのか?」 そうだね。あ、世界の始まりから少し話が逸れてしまったね。 では、世界の始まりの話をしよう。 世界の始まりは、丸から始まるというのは知っているかい? その丸い物が何らかの原因で二つに分かれ、片方が陽。片方が陰に分かれたと言われている。 多朗達の世界では、勾玉と呼ばれている形。 あれは一つ一つが人の魂の形になっていて、二つ合わさると丸になるだろう? 又、母親の胎内に居る時の赤ちゃんの形が勾玉のような形になっているとも言われているらしい。 黒い勾玉が陰とすれば、白い勾玉が陽になる。 かと言って、白が正義で黒が悪という事では無いんだ。 陰と陽。それはどちらが強くても、どちらが弱くても世界は成り立たない。 同じ力であり続けなければ、完璧な丸の状態にはならない。でも、そんな完璧な世界など、何処にも存在はしない。人が誕生したのは、陰と陽のバランスを取る為に必要だった……とも言われているんだ。 人はどうしても陽の部分に目を引かれがちだけれど、太陽の光が強ければ影が強くなるように、どちらも大切な部分だったりするんだよ。 でも、人はどうしても陰の部分を悪い言いがちだけど、晴れの日ばかりでは大地に水が必要になるし。 風がどんなに吹いていても、大地が無ければ生命は誕生しないという原理だね。 そしてこの世界では、まずは四匹の竜神が生まれた。 竜神が四匹の番二組にも、実は意味があるんだ。 この世界での完全なる世界は、∞で表すように丸が二つ並んで初めて生まれるとされている。 だから、火と水。風と土の番が均衡を保って生存することが大事だったんだ。 竜神は我々人類を作り出し、子孫繁栄を促した。 ただ、この世界と多朗の世界との違いは、必ずしも男女でなければ子孫繁栄が出来ない訳では無いんだ。 同性同士でも子孫は繁栄する事が出来る。 ただ、それには僕達が行ったような互いのエネルギーを混ぜ合わせて中和させ無ければならない。 それは必ず陰性と陽性の魔力を持った者で無ければならないんだ。 陰性の魔力と陰性の魔力が結ばれたとしても、中和される事が無いので子供が生まれる事は無い。 逆も然りで、陽性と陽性が結ばれても、中和はされないので決して子を成す事は出来ない。 片方の魔力がだけ強い者が生まれてしまうと、この世界の均衡が崩れてしまうからなんだ。

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