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第73話

生臭い匂いを口内に感じ、それがルーファスの吐き出した欲望の塊だと思ったら、シルヴァは余りの嫌悪に嘔吐してしまう。 するとルーファスはシルヴァの顎を掴み 「シルヴァ元王子……、なんで吐いちゃうかな?」 と呟きルーファスが指を鳴らした瞬間、ドアの外から悲鳴が聞こえた。 「あ~あ、きみのせいで誰か切られちゃったね」 楽しそうに笑うルーファスの声に、シルヴァは目の前が真っ暗になった。 そんなシルヴァの顎を掴み 「ねぇ、シルヴァ。きみの行い次第で、罪の無い人が切られたり殺されたりしちゃうんだよ。私は虫けらの命なんてな~んとも思わないからさ、何人殺しても、何人傷付けても痛くも痒くも無いからさ」 楽しそうに笑うルーファスを、シルヴァは絶望の眼差しで見つめた。 「分かったよね?キミがどういう立ち位置なのか?キミは自死も許されず、私に反抗する事も許されないんだよ。きみは永遠に、この部屋で私に愛されるんだよ」 べロリと頬を舐められ 「あぁ……シルヴァ。きみの涙は、なんて甘美な味がするんだ……」 顔中を舐め回され、何度も込み上げる吐き気を必死に堪える。 「シルヴァ……美しい私の宝石……」 シルヴァの瞳や鼻の中まで舐めるルーファスに、シルヴァは嫌悪を通り越して恐怖を感じた。 「あぁ……シルヴァ……。きみは全てが美しくて、全てが甘美な味がするよ。一層のこと、キミの全てを食べてしまいたくなる」 耳を舐めながら囁かれ、シルヴァは一層の事、こいつに食われたら死ねるな……とさえ考えていた。ぼんやりと、どうしたらこいつが自分を殺して自分の肉を食ってくれるのかを考えていると 「さぁ……これからシルヴァを、たっぷり味あわせてもらうよ」 と、ルーファスの声が耳に届いた。 「まずはこの美しく長い指」 そう囁き、シルヴァの手を取り指の1本1本を丹念に舐め始めた。 爪の間にも舌を入れ、指をシャブリながら興奮するルーファスにシルヴァは身震いした。 指の間、手のひらを左右舐めながら 「シルヴァ……その怯えた瞳が堪らない」 そう呟きながら手首からゆっくりと腕を舐め回す。 催淫剤のせいで、意識が朦朧として来る。 全身に塗られたせいで、ザラザラとした舌の這う感触だけで、既にシルヴァ自身は痛い程勃起して先走りを流している。 必死に呼吸で強制的に与えられる快楽を逃がそうとしていると、シルヴァの両手を頭の上で一纏めにされた。 ハッとしてルーファスを見ると、シルヴァの脇の下に顔を埋め 「堪らん!この匂いは、本物だけしか嗅げん!」 ハァハァと荒い呼吸をして、シルヴァの脇の下を嗅いでは舐めるを繰り返された。 「あっ……やめ…………っ!」 身体を捻り、必死に抵抗しようとして我に返る。 反抗したら、誰かが切りつけられる。 唇を噛み締め、否定の言葉を飲み込むと 「分かって来たみたいですね、シルヴァ……」 ニタリと笑うと、ルーファスは再びシルヴァの脇の下に顔を埋めた。 必死にシーツを蹴り、与えられる快楽を何とか逃がそうと必死に抵抗をする。 その時、ふとシルヴァの両手を押さえている男と目が合った。 その人物の顔が、瞳がアイスブルーではあるが自分に良く似た容姿である事に驚いた。 しばらくその人物と見つめ合っていると、ゆっくりとその人物の唇がシルヴァの唇に重なった。 舌を差し込まれ、シルヴァは自分に犯されているような奇妙な気分になった。 すると 「貴様!私の宝石に何をしている!」 と狂った叫び声と同時に目の前にあった顔が張り倒された。

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