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第83話

全裸で川に向かい、社の裏に流れている川に足からゆっくりと入る。 シルヴァの事は愛しているが……、この昨夜の名残的なモノにはどうしても慣れない。 冷たい川に身体を沈め、深い溜め息を吐いた。 それにしても、昨夜のシルヴァはヤバかった。 あの色気とフェロモンで、近くを歩いただけで妊娠させそうだわ。 そう考えて苦笑いした時、草むらからガサッと物音がして、思わず身構える。 「誰だ!」 真っ裸なのを忘れて手に魔力を込めた時、前に俺達を襲った男…… リアムが現れた。 俺はホッとして 「何だ……リアムか」 と呟くと 「何だじゃねぇよ!こっちがビビったわ!」 そう言って視線を逸らす。 「お前らの夜伽を邪魔させる訳には行かないから、見張り頼まれたんだよ。良いから、さっさと戻れ」 シッシと手を払われムッとして 「何だよ!態度悪いな!」 と近付くと 「来るな!お前、今どんな格好してると思ってるんだよ!」 そう叫ばれて、真っ裸なのを思い出す。 「あ!悪い、悪い。俺、真っ裸だったわ」 って『あははは!』と笑っていると、背後からタオルを巻かれてぐいっと身体を抱き寄せられた。 「お前!また、多朗を拐いに来たのか!」 怒って髪の毛がゆらりと逆立たせたシルヴァが現れた。 俺は慌てて 「シルヴァ、違う!こいつ、今は味方だから!」 そう叫ぶと、サファイアの瞳がゆらりとルビーに変わりかけて元に戻る。 「え?多朗、今なんて?」 「だから、リアムは今、俺たちの味方なんだよ!俺の護衛に着いてくれて居るんだ」 そう言うと、シルヴァが目を据わらせて 「百歩譲ってそうだとしても、多朗の裸を見て良いのは僕だけだ!」 って本気で怒ってる。 「シルヴァ、落ち着けって!俺が真っ裸なのを忘れて、リアムに近付いたんだよ」 と叫ぶと、シルヴァが怒りを通り越して呆れた顔をすると 「多朗、どうしてきみはそうやって無防備なんだ……」 そう呟いて俺の身体を自分の方へと向けて 「多朗、きみはとても魅力的なんだよ。そんな姿を他の奴に見せてみろ!襲われかねない」 と言いながら、頬に触れて唇を重ねて来た。 舌を差し込み、激しいディープキス!!!! (リ……リアムが見てるのにぃぃ!!) 心の中で叫び、やっと唇が離れて俺はクタリとシルヴァの腕の中に崩れ落ちる。 そんな俺を抱き上げると 「分かっていると思うが、多朗は僕のモノだ。二度目は無いと思え!」 と威嚇して部屋へと歩き出した。 「シルヴァ……、リアムは護衛してただけだって……」 肩に抱えられながら呟いても、全く聞く耳を持ちゃしない。 布団に乱暴に下され 「朝は嫌だとか言ったけど、僕をあんなに怒らせたんだから分かってるよね」 ジリジリ目を据わらせたシルヴァが近付く。 「待て!確かに不注意だった。しかしだな、今はダメだ!」 そう言って俺に手を伸ばすシルヴァの手を払い 「これからやらなくちゃいけない事があるから、それが終わったら幾らでも付き合ってやる」 と叫んだ。 するとシルヴァの手が止まり 「本当に?」 そう言って俺を見つめた。

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