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第90話
「さぁ!貴方も闇に落として差し上げます」
そう言うと、ルーファスは高らかに笑う。
「これで私は四神の力を手に入れる事が出来る。この世界は、私の物だ!」
笑って叫んだルーファスを、俺は失笑して見つめた。
「こんな物で、俺を倒せると?」
そう言って俺は軽く手を合わせ深呼吸すると、集中して息を止めて手を叩いた。
『パン!』
高い音が響いた瞬間だった。
黒い闇が一瞬にして消え去ってしまった。
「な……んだと?」
ルーファスが慌てた顔をして
「それならば、お前をこの中に閉じ込めてやる!」
魔石を俺に向けた時、俺は手のひらを魔石に向け、火、水、風の魔力を融合させた魔力を放った。
赤、青、緑の光が魔石に向かって渦を巻いて放たれる。
「魔力だ!素晴らしい!三つの魔力がどんどん中へと吸い込まれていく!こでれ私は、無敵になるのだ!」
頬を紅昇させ、笑みを浮かべて魔石を翳したその時だった。
『ピシぃ!」
という音が鳴り、ピキピキと魔石に幾つものひび割れが起こり始め、『パリーン』と高い音を立てて魔石が粉々に砕け散った。
「あぁ!魔石が!私の魔石が!!」
粉々になった魔石をかき集めるルーファスを見下ろすと
「敵だ!敵襲だ!!」
ルーファスは真っ青な顔でそう叫んだ。
するとドアが開き、衛兵が一斉にルーファスを守るように俺達に剣を向けた。
「こいつ等を殺せ!王に仇なす不届き者だ!」
何十人もの衛兵に守られてルーファスが叫ぶと、魔力で戦わなくてはならないのかと悩んでいると、シルヴァが俺の肩に軽く手を置き、ゆっくりと俺の前に立ちはだかった。
シルヴァはゆっくりと剣を抜き、何十人も居る衛兵に剣先を向け
「誰に剣先を向けていると思っている?」
静かな声でシルヴァが衛兵に言い放す。
すると衛兵の一人が
「シルヴァ様……シルヴァ様ではないか?」
と叫んだ。
すると衛兵達に動揺が生まれる。
「我が名はシルヴァ。この国を統べる王族の血を受け継ぐ第一王子と分かっての事であろうな!」
そう言うと、シルヴァの髪の毛がゆらりと揺れて黄金の髪の毛がゆっくりとプラチナの色に変わっていく。
俺は背中に居るから見えないけど、多分、瞳はルビーの色になっているのだろう。
(こうしてると、マジでカッコイイんだけどな~)
非常識と分かっては居ても、目の前の超絶カッコイイシルヴァにキュンキュンしていた。
すると一斉に衛兵達が床に片膝を着け
「シルヴァ王子、ご無事で何よりでございます」
衛兵隊長らしき人がそう発すると
「我々は貴方を人質に取られ、ルーファスを守っておりました。貴方が自由になった今、ルーファスに従う理由は無い!」
そう叫んで、一斉に剣先がルーファスへと向けられた。
「お前達!私を国王と分かっての行動か!」
慌てるルーファスに
「俺達がお前に従っていたのは、シルヴァ王子の身柄を守る為だ!その王子が自由になられた今、お前に従う理由など無い!」
衛兵隊長の言葉に、涙が込み上げて来た。
シルヴァの顔を見ると、シルヴァも信じられない光景を見ているという顔でその光景を見ている。
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