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第97話

「あぁ、そんな事もあったな……」 懐かしそうに笑うシルヴァに、俺は小さく微笑み返す。 するとシルヴァが俺の胸に舌を這わせて 「でも、授乳期の多朗との授乳プレイは最高だった」 と、ふと思い出したように呟いた。 その言葉に、すっかり忘れていたシルヴァのとんでもない性癖を思い出した。 俺が目を据わらせて 「もう、出ないからな」 そう呟くと、シルヴァは楽しそうに笑って 「分からないじゃないか。今夜は久し振りに試してみるとするかな」 と言って、強く胸に吸い付いた。 「あぁっ!」 俺は喘ぎ声を上げながら、あの日の出来事を思い出していた。 あれはまだチビ達が1歳になり、離乳食を与えながら乳離れし始めた頃。 最初、母乳の出が悪かった俺を心配した人達から、母乳が出る食べ物やらなんやらたくさん頂いて、有難い事に母乳が出るようになった。 が!だ。 今度は出過ぎるようになってしまったのに、子供達が離乳食へと移行し始める時期になり、そんなに母乳を飲まなくなってしまう。 そうなると、胸が張って痛くなる事が増えて来た。子育て経験者の話を聞くと、少ししたら母乳は自然と出なくなるらしいが、それまでの間が辛いらしい。 いろんな出産経験者に話を聞いてマッサージが良いと教えてもらい、マッサージのやり方のメモまでもらった。 俺は夜中にこっそり、みんなが寝静まったを確認してベッドから抜け出し、教わったマッサージを試してみた。本当は子供に母乳を飲ませているときにするのが良いらしいが、我が家は双子ちゃんなので両手が塞がって出来ない。 教えてもらった通りにマッサージをしていると、何やら嫌な視線を感じて振り向いた。 するとドアの前で壁にもたれて、シルヴァがこっちて見ている!! (うわ~!一番見られたく無い奴に見られてた!!) 慌ててパジャマのボタンを止めようとすると、シルヴァが足速に近付いて俺の手を掴み 「多朗……夜中にベッドから抜け出して、一人で何をしていたのかな?」 完全にえっちモードにスイッチが入ったシルヴァの欲情したサファイアの瞳が俺を見下ろす。 「待て!違うんだ。これは母乳が出過ぎて痛いから、マッサージをだな」 と言い訳してた俺の身体を軽々と抱き上げ、ダイニングテーブルの椅子から長椅子へと移動すると、俺の身体をシルヴァの膝の上に向き合うように座らせた。 そして俺が見ていたマッサージのやり方が書いてある紙を俺から奪い、ニヤリと楽しそうに微笑んだ。 「多朗、これは母乳を与えながらマッサージするのが一番良いらしいじゃないか。それならそうと、早く言ってくれれば良いのに」 そう言って、手にしていた紙を放り投げた。 「あぁ!マッサージのやり方の紙!」 と叫んで拾おうとした身体を抱き戻され 「もう覚えたから大丈夫」 って微笑んだ。 こいつ、こう言う所がマジムカつく! シルヴァは書類に目を通すだけで、大体の事が頭に入ってしまう。 俺のような凡人との違いを見せつけられて膨れていると、シルヴァが俺の腰を抱き寄せて胸に吸い付いてきた。

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