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1st Crime 6
「なんだぁ、おっさん雨の中寝てんのか?」
すぐ側で通行人の声がする。まだ小さな叫びを漏らし続ける志月に、少年が「ちっ」と舌打ちをした。
「んっ!」
少年の唇が志月の唇を覆った。
「…んんっ!」
雨に濡れた志月の身体を力任せに抱き寄せると、少年は志月の後頭部に手を回し自分の方へと押し付けた。そのまま重ねた唇の隙間から深く舌を差し込んで嗚咽を奪う。
「死んでんのか!?」
息すら出来ない深いキスを雨と一緒にあびながら、志月の耳に遠くで叫ぶ声が聞こえた。
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