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1st Crime 7

 解体を待っているだけのようなコンクリートの古いアパートの一室。訳ありの有象無象が何人かいるだけだと少年は口元だけで笑って、志月を部屋に入れるとタオルを投げた。 「俺んちだから心配ねえよ」  そう言って自分も身体を拭く。雨は弱くなったがまだ降り続いている。投げられたタオルは志月の頭から肩へだらしなくぶら下がった。それを取ろうともせず、志月はずっと俯いたまま玄関に立っている。 「杉原志月、第一高校三年て十八?俺より一個上じゃん」  志月に近づいて荷物を探った少年が生徒手帳を見て「マジかよ俺より全然小せえのに」と鼻で笑う。 「俺は|暁《あかつき》。早く拭かねえと風邪引くぞ」  暁が濡れたシャツを脱ぐ。均整の取れた身体、所々にケンカで付いたのであろう傷痕。左腰から肩と腕にかけてアジアの民族がよくしているようなトライバルタトゥーが入っていた。 「…何で警察に突き出さないの?」  静かな声が背中に投げられて、暁が振り向く。 「ちょっと落ち着いてきたか」 「そっか…俺のこと脅すつもりなんだ…お金とか要求して…」

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