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1st Crime 8

 六畳あるかないかの部屋にベッドとテーブルが置いてあるだけのシンプルな空間。暁はテーブルに腰掛けると煙草に火を点けた。 「別にぃ。あのオヤジ最近この辺に流れて来て、男女問わず食いまくって目障りだったから、逆にありがとーって感じ?」  軽く言ってまた髪の毛を拭く。漆黒の髪の間から赤いピアスが見えた。 「お前が|殺《や》んなくても誰かがやってたよ」 「………」  玄関のコンクリートに水滴が落ちて溜まる。志月はそれが雨なのか涙なのかさえ分からずに眺める。 「バックレとけよ。第一高校なんて、いいとこのおぼっちゃまなんだろ?万が一にもあんたに容疑がかかる可能性なんかねーよ」  志月はぎゅっと目を閉じた。  やけに冷静な暁の声が、志月の頭の中もクリアにしていく。自分に起こったことを、自分がしたことを、脳が急速に理解し始めた。  殺した!殺した!殺した! 「俺は人を………!」  それ以上は喉が詰まって声にならなかった。強い吐き気が襲ってきて、志月は口元を押さえる。震える手でカバンを抱えると、よろける体でドアを開け、雨の中に飛び出していった。  ***

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