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1st Crime 10

 傘の骨が形を変える。母が振り乱した髪を整えもせず肩で息をして、先ほどまでとは違った哀れな声音を出した。 「お母さんを悲しませないでぇ」  壊れた傘が志月の横に転がる。真顔に戻ると、そのまま母はリビングへと消える。志月は玄関のドアにもたれていたが、足に力が入らなくなりそのまま座り込んだ。  頭の中、今夜起きたことが早送りで再生されては巻き戻る。殴られた痛み以上の衝撃。これは現実なんだ…。  だけど、ただ。  両手で顔を覆う。 「息をしてみたかったんだ…」  小さく志月が呟いた。

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