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2nd Crime 1
昼休みの職員室で担任の前に立ち、志月はじっと俯いていた。目の前には先日の模試の答案が広げられている。
「この問題も簡単なミスだ。亡くなった兄さんはこんなミスしなかったぞ」
「…すみません」
大股を開いて椅子に腰掛ける教師が、ストレスの吐け口のようにネチネチと小言を続ける。志月は何も映さない瞳で時々曖昧に相槌を打った。
『次のニュースです。昨夜、雅街繁華街でホームレスの男性が殺害される事件がありました』
志月の肩がピクリと揺れる。急に焦点を結んだ視界が職員室の大型テレビを見上げた。
「親にも期待されてるだろ杉原」
教師の小言はもう何も耳に入らなかった。
拳を握った手に汗が滲んでくる。志月は制服のズボンをギュッと握った。ポケットの中に硬い感触を感じて、志月はその形を指で探る。
心臓が大きく鳴る。
昨日盗んだリングだ。
気付いて、頭の先から血が引いていく感覚に襲われる。
布の上からぎゅっと握ったその硬い感触が、昨日起こったことが現実だと志月に知らしめている。
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