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2nd Crime 4

 暁のアパートには屋上があった。  昨日も来たはずなのに、夜と、雨と、気の動転とで記憶がほとんど無く、志月は初めて来たような感覚に陥っている。屋上はひび割れたコンクリートに錆びた鉄柵が申し訳程度に刺さっているような場所だった。  繁華街からは少し離れていて、廃墟と化した建物が幾つも周りに見える。それでも少しの常緑樹と、近くを流れる小川の光る水の風景が、束の間、癒しを運んでくる。 「いー天気だなあ」  腕を思い切り伸ばして暁が伸びをする。風に煽られたTシャツからタトゥーが覗いた。 鉄柵ギリギリに立って暁が煙草に火を点ける。青い空に流れた煙が雲に見えた。 「…どうして警察に届けなかったの?」  風に負けそうな小さな声で志月が問う。 「じゃあ何でお前は自首しねーんだよ」  逆に問われて志月が黙る。咄嗟に浮かんだのは母の顔だった。 『陽志はあなたのでいで死んだの。お母さんを悲しませないで』  志月はポケットに手を入れると、そこに在る指輪をギュッと握った。

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