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3rd Crime 1

 駅のトイレで着替えて制服をロッカーに入れる。そんな経験を自分がするとは志月は思っていなかった。 『こっち側の人間になれよ』  そう言われて本当に来てしまった自分にも驚いている。  自分が罪を犯した街。  暁の言ったように知らないふりをして、有名高校の制服をずっと着ていたら本当にバレないかもしれない。  でも…。  志月が暁の体温を思い出す。  やっぱり脅されるかもしれない、利用されるかもしれない、でも、それでも、あの温かさを近くでまた感じたい、そう思ってしまったのだ。  夜の街には志月の知らない世界ばかりが溢れていた。大通りには居酒屋のチェーン店やカラオケ店、ファミレスが並んでいたが、一歩奥の道に入ると、一目で未成年と分かる男女が出入りするクラブが何件もあって、その周りでも騒いでいる若者で溢れていた。中には制服のままの者もいた。  喧騒の中を身を竦めて歩きながら、暁に指定された場所を探す。場違いな自分を皆が見ているような気がして、志月はシャツの袖口を握ったままの手を口元に当て、足早に歩いた。

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