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3rd Crime 8

 茂の見開かれた目が、クスリのせいだけではなく血走る。視界いっぱいに赤く光る灼熱がゆっくり近付く。 「た、た、助け…」  あまりの怖さに失禁した茂のズボンがぐっしょりと濡れる。  眼球に煙草が付く瞬間、暁が手をずらす。そのまま茂のこめかみに煙草が押し当てられた。 「ぎゃあああ!」  茂がこめかみを押さえ、もんどり打って再び倒れる。暁は近くにあった石を掴んで握ると、茂の手を避け、その顔を連打した。 「おら、死ね!死ね!」 「…ぐふぉ」  口から血を吐いて茂がうずくまる。地面に何本かの歯が転がった。そして最後の一撃を加ようと暁が大きく振りかぶった時、志月がその腕にすがり付くようにして動きを止めた。 「暁、ダメ!ダメだよ!」  止められると思っていなかったのだろう、暁が驚いたように振り返る。 「…志月?」  志月の顔が直近にあった。その目には涙が浮かんでいる。  志月は震える両手で血にまみれた暁の拳を握ると、そっと下ろして自分の胸に抱いた。
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