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4th Crime 1
「なぁーんか最近暁って志月ばっか構ってない?」
不満を満面に湛えた顔でルミが志月を睨むように見上げる。学校帰り、暁のアパートに直行し二人で屋上に上がって暁と話していた志月に、同じく屋上に上がって来たルミがからんできた。
「え?」
志月が赤くなる。
確かに最近構ってもらってばかりかもしれないと心当たりがあったからだ。そして、それが嬉しかったから…。
「んなことねーよ」
暁はぶっきらぼうに返したがルミは「そんなことあるもん!」と頬を膨らませてまた志月を睨んだ。
「ふーんだ!いーもんいーもん、あたしだって他に遊ぶ男くらいいるもん!」
ルミは「浮気してやる!」と二人に向かって舌を出すと朽ちかけた鉄の階段を大きな音を立てて降りて行った。
志月は何となく落ち着かなくて、ポケットからあの日盗んだ指輪を取り出すと指で弄ぶ。
「ルミってさ、暁のこと好きなんだ、ね」
「…何いじってんだ?」
志月の問いには答えず、暁が志月の手を覗き込んだ。
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