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4th Crime 14
暁の握られた両手が微かに震えているのに志月は気付いた。俯く背中も、小さく揺れている。
「暁…?」
志月が部屋に上がり暁の後ろに立つ。背中に触ろうとして、触れられないその雰囲気に気圧されて止める。
「…怖かった」
「え?」
意外な言葉が暁の唇から漏れ、志月の心臓が鳴った。
「クスリは人間を壊す、そんなの知ってる。知ってて売ってる。生きるために売ってる」
「あかつ…」
「でもお前が壊れんのは嫌だ!怖い!」
「………っ」
薄いカーテンの間をぬって差す月明かりが、振り向いた暁の目にうっすら浮かぶ涙を照らす。志月が息を止める。
「…ハンカチくれただろお前」
「え?」
「覚えてねーかもしんねえけど」
志月は初めて街に来た夜を思い出す。喧嘩をして血を流していた少年、あれは…。
「あれ、暁だったんだ…」
暁が哀しそうに小さく笑う。
「初めてだったんだ、この街に来て…優しくされたの」
暁が顔を上げる。じっと志月の目を見つめる。
「お前はただ、ケガしてる人間をほっとけなかっただけかもしんねーけど…」
志月が首を横に振る。確かに自分もあの時、少年に惹かれた。
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