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5th Crime 11

 殺したのは自分ではない。でも、自分があのホームレスを殴った時、逃げずに医者に連れて行っていたら助かったかもしれない。そもそも指輪を盗まなければ…。  志月の頭の中で、もうどうしようもない事がぐるぐる回る。  どんなに小さなことでも、罪は許されることはないのかもしれない。  例えどんな形になっても罰は下るのだろう。  それも、自分に一番辛い形で。 「暁…」  これ以上ない、俺への罰。 「暁、暁、暁…っ」  暁が持って行った…俺の罪。  だから俺に下った一番の罰。 「志月」  ルミが立ち上がる気配を感じながらも、志月は顔を上げることが出来ない。 「暁の気持ち裏切ったら、許さないから!」  涙声が志月の頭上に降ると、気配が遠ざかって、足音が消えた。  志月が自分の身体を抱きしめるようにして体を起こした。暁に触れられた感触を思い出すようにそっと目を閉じる。  あんな風に生きてみたい。  あんな風には生きられない。 「あんな風に…生きるんだ」  暁のように。  暁のくれた優しさのように。

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