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第46話 なんかもう色々パニック1*
「あれ、優太さん、なんか言ってよ」
来ないで、という間もなく、十夜はまたベッドの縁に腰掛けてきた。
俺は自分の足の間から手を離していたけれど、俺がいま何をしていたかなんて、十夜はとっくに気付いているだろう。
動けずにいると、タオルケットを捲られて、軽く兆しているそこを触られてしまった。
電流がビリビリと体を駆け巡る。
「あ……⁈」
「……優太さんが、嫌じゃなければいいよ。キツいでしょ」
小さく呟かれたあと、その手を上下に撫でさすられた。
何を。しているんだろう。
俺は何をされてるの?
優しく包み込むようにされると、布の下の性器はじわじわと充溢を始めてしまい、俺は真っ赤になってかぶりを振った。
「い、いや、だ」
って言ったのに、十夜はにこりと笑うだけで、手の動きを止めてはくれなかった。
「ちょっ……十夜っ」
俺は腰を捩らせ、十夜の腕を掴む。
けれどやはり動きは止まない。
十夜は使命か何かのように、その箇所に視線を送りながら緩やかにさすっているので、意図が分からなくてパニックになった。
「いいって、そんなことしないでよ……っ」
「嫌なの? 俺にされんの」
またその顔だ。不貞腐れ。
俺に拒否権はないみたいな言い分何なの?
「い、嫌じゃ、ないよ、だけど……んっ」
その続きは上擦った声になってしまった。
布の上で摩られていた指が、俺のズボンと下着を同時に下ろしにかかったのだ。
俺は派手に狼狽した。
「だめだよ! だめ……っ」
頑なに服を下ろすことをやめるように言えば、十夜は下着の中に手を潜り込ませてきた。
「十夜、や……ぁ」
キュッと直にそれを握られて1回しごかれたら、いよいよ後戻りができない。
ジンジンと腫れるような痛みまで出ているソレの先端からは甘い蜜がこぼれて、擦れている下着や十夜の手を汚している。
あまりにも大きなその手のひらは、俺のをいとも簡単に優しく包み込んでしまう。
先端を指先で割られ、自らがこぼした熱い滴を塗りつけられた時、強烈な快楽が腰全体に広がった。
「──あっ……」
先走りを窪みにヌルヌルと擦り付けられると、ものすごく気持ちが良くて、太ももと脚がブルブルと震えるのを抑えられない。
あっという間に蕩かされた自分にも恥ずかしくなって、俺は啜り泣くようにもう1度懇願した。
「ん……十夜ぁ……おねが……っ」
一旦やめて、の意味でのお願いなのに。
欲しがりだと思われたのか、その手淫はより激しいものに変わる。
皮を剥かれて、皮が引きつっている箇所に爪を立てて引っ掻かれた。
飴と鞭のように、優しさと意地悪が交互に押し寄せる。
逃げるように仰向けに転がると、十夜も身を乗り出して、俺を真上から見下ろしてきた。
その瞳は扇情的で、その真っ直ぐな視線にもビクビクと感じてしまった。
どうしてそんな瞳で、俺を見るの?
どうしてこんなことになってるの?
確かに十夜は気遣いが半端なくて優しくて面倒見がいいけど、俺のためにこんなことまでしなくたって。
俺のこと、好きでもないくせに……
耐えきれずにきゅっと目を閉じる。
感度が多少は緩和されると思っていたのに逆効果で、視覚がなくなったせいで聴覚がより敏感になってしまった。
クチュクチュと淫猥な音がだんだん大きくなってくると、俺は本格的に泣き始めていた。
喜悦と快楽の狭間で、ほんの少しの理性が顔をのぞかせるが、すでに十夜に酔ってしまっていた。
「やっ……ぃや……」
「優太さん、目開けて。俺を見てよ、ちゃんと」
十夜の声は麻薬のように俺の体の隅々までを支配していき、抗えずに目を開けた。
十夜と視線を合わせる。
熱っぽい目で見下ろされると頭がフワフワとしてきた。
「あ、あっ、あ……ッ」
「優太さん、可愛いね。泣いてる」
指先でやさしく、雫を掬われた。
俺のいやらしい顔、見られてる。
この音も聞かれてる。
恥ずかしい。恥ずかしすぎる。
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