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第66話 連絡来るまで待つことに

 電車に乗りこんだ俺たちは、優太さんの住んでいる駅で降りた。  改札を抜けたところでスマホを確認する。  電車に乗る前、優太さんにLINEを送っていたのだが、相変わらず既読は付いていなかった。  ためしに電話をしてみても呼び出し音が途切れることはなく。  あぁ、なんだよ。前は秒で返信が来てたのに、肝心な時に連絡よこさねぇのかよ。  そう考えたところで、そういえば俺が返信したい時にすればいいと促したんだった。  もしそれだったらいいけど、俺からの連絡を無視しているのであれば精神的にヤラれるな……。 「連絡付かないなら、優太クンのお宅に突撃しちゃう?」 「そうだな……けど月曜って確か、夜からバイトだって言ってたような……」  週3回、ライブハウスのバイトがあると前に聞いたが、果たして今日が出勤日なのかは定かではない。  時間的に、大学の授業はもう終わっている気がするが。 「とりあえず、連絡が来るまで時間を潰すか」  新に言われて、駅前のチェーン店のハンバーガーショップで待つことにした。  それぞれセットを頼んで階段を上り、窓際に近いテーブル席に座る。  食べている間もスマホを注視するが、着信はない。  結局、30分ほどが経過しても変わりはなかった。 「その人、秒で既読が付くんじゃなかったのかよ」  新の視線は俺ではなく、自分のスマホの画面に向けられている。時間を潰すためにシューティングゲームをしていた。  隣に座るケンも同じく、スマホ片手に動画を見ている。  こっちはこれから好きな人に色々と告白しなきゃならないっていうのに、所詮は他人事だよな。  俺はソワソワした気持ちでスマホを握りしめた。 「こないだ、すぐに返信しなくてもいいって言っちまったんだよ」 「えぇー、じゃあいつまで待てばいいの?」  そんなの知るか。  幸い、ふたりは上手く時間を潰せているみたいだし、時間には余裕がある。  あと数分待っても連絡がなければ優太さんの家へ行ってみることにして、その場に留まった。  しばらくすると、見知った顔がトレイを持って階段を登ってきた。  目と目が合うと、そいつはぱあっと花を咲かせたみたいに笑顔になる。 「十夜くんじゃん。久しぶりだねぇ」  セミロングの茶色い髪とミニスカートをひらりと靡かせた女子は、俺の元カノのミカだった。   よ、と片手を上げた俺は軽く会釈する。  ケンと新も一旦目線を上げ、軽く挨拶をした。

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