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第10話 初夜を迎えた狼と狩人

 すっげぇ喉が渇いて目が覚めた。おっかしいなぁ、昨日、塩っからいもんでも食べたっけ……?  塩に漬かりすぎた干し肉を食べると喉が渇いて目が覚めることがある。わかっているから、ご飯のときに水をたっぷり飲むようにしていた。それなのに、こんなに喉が渇くなんて変だなぁ。 「のど、がわいた、」  げっ、ひっでぇ声。いまのオレの声だよな……? 「はい、お水。飲める? 飲ませてあげようか?」  あ、ミチカだ。ミチカのはずなんだけど、……変だな。なんだかぼやけて見える。 (うーん、オレってばまだ寝てるのか……?)  何度もパシパシ瞬きしたら、やっといつもどおりにミチカの顔が見えた。 「……?」  見えたけど、なんだかミチカの顔が変だ。いつもどおりきれいだけど、笑っている顔がいつもと違うっていうか……。 「ミチガ……?」  あー、やっぱりオレの声、すっげぇガラガラだ。それに喉がおかしいくらいカラッカラになっている。  なんでこんなに喉が渇いてるんだろうって思いながら、ミチカが持ってきてくれたコップを持とうとしたんだけど……。あれ? うまく持てないや。伸ばした手がぷるぷる震えるなんて、なんだよこれ。 「口移しで飲ませてあげるから、ちょっと待って」 (ぅえ? くちうつし?)  どういうことだろうってミチカを見上げたら……どうしてか、ミチカが水を飲み始めた。水を飲みたかったのはオレなのに……って思っていたら、今度はミチカの顔が近づいてきた。それから口がくっついて……口の中に水が入ってきた。  ちょびっと生ぬるいけどすっげぇ喉が渇いていたから、オレは口に入ってくる水を必死に飲んだ。 「んちゅ、ん、んむー」  またミチカが水を飲んで、それからオレの口に口をくっつける。それくらいじゃあ全然足りなくて、何度も何度も同じことをくり返した。何度も何度もミチカの口から水をもらったら、ようやく生き返った。 「うん、顔色もいいし、目もしっかり開いてる。もう大丈夫だね」  ん? 大丈夫って何がだ? …………そうだ、オレ、変な薄黄色の水を飲まされて、それで地面にぶつかったんだ。あれからどうなったんだっけ? 「あぁほら、まだ起き上がれないだろうから、おとなしく寝てて。いまスープ持ってくるから」  ぎゅるるるるる。  どうなってんのか全然わからなかったけど、お腹が空いてるっていうのだけはよーくわかった。うん、オレ、すっげぇペコペコだ。  ミチカが持ってきてくれたのは、具が入っていないスープだった。こんなのでお腹が膨れるはずがないって思っていたのに、いつもの半分飲んだだけで満腹になった。  おっかしいなぁ。さっきまでは「肉が食いてぇ!」ってくらいお腹が空いていたはずなのに、スープを飲んだくらいで満腹になるなんてさ。  でも、ミチカに「毒リンゴを飲まされたんだよ」って言われて、なんとなく納得できた。 (そっか、あの変なリンゴの匂いがしたのは毒リンゴだったのか)  森には毒ヘビがいるし毒キノコもあったけど、毒リンゴなんて初めてだ。毒だったからリンゴなのにまずそうな匂いがしたんだな。 「でも、もう大丈夫。あとは少しずつ食べるものを増やしていけば、シュウは狼だからすぐに元気になるよ」 「わかった」って言いたかったけど、うまく声が出なかったからコクコク頷いておいた。  ミチカが言ったことは本当だった。  目が覚めた日は具が入っていないスープを半分しか食べられなかったけど、次の日の朝には具が入っていないスープを全部食べることができた。夜には柔らかいパンと小さい肉が入ったスープを食べて、次の日には軟らかく煮た肉もペロッと食べた。 (ミチカの言ったとおりだった! ミチカってやっぱりすげぇな!)  それに、やっぱり肉を食べないと元気が出ないんだよな。昨日からは焼いた肉も食べられるようになったし、朝は挽き肉を丸めて焼いたやつをおかわりまでした。 「狼だから回復は早いと思ってたけど、これほどとはね。昔から毒にさらされて生きてきたとはいえ、すごいな。……うん、ほんと早く元気になってよかった」  そんなことを言いながら、ミチカがギュウギュウに抱っこしてきた。  オレが焼いた肉を全部食べられるようになってから、ミチカはいつもギュウギュウに抱っこする。オレは子どもじゃないし本当は恥ずかしいんだけど、ミチカにすっげぇ心配かけたのはわかっていたから、おとなしくギュウギュウにされることにした。 (だって、大兄ちゃんまで抱っこしてきたからさ……)  二日前に小屋にやって来た大兄ちゃんは、オレを見るなりギュウギュウに抱っこした。すぐにミチカが「触るな」ってオレを抱っこしたけど、あの大兄ちゃんまでそんなことするなんてびっくりだ。でも、それでわかったことがある。  毒リンゴの水を飲まされたってこと以外はよくわからないけど、オレが思っていたより心配をかけたんだってわかった。だって大兄ちゃんに初めて抱っこされたし、ミチカもずっと疲れた顔をしているんだ。  それに、夜になると何度もオレの頭を撫でる。オレの前では笑っているけど、たまに難しい顔をしているのだって気づいている。 (……まだ、心配してんのかな)  たぶんそのせいで、つがいっぽいこともしなくなったんだ。  オレはもう元気なのに、ミチカはお尻の中を洗ってくれなくなった。一緒に寝ても、口やほかのところをチュウチュウしなくなった。ちんちんをモグモグすることもなくなった。  そりゃあ恥ずかしいと思うこともあったけど、オレだってミチカとそういうことするのは嫌じゃなかったのに。 (嫌じゃないっつーか、……してほしいっつーか)  だって、オレとミチカはつがいなんだ。それなのに、ミチカはいつまで経ってもつがいっぽいことをしてくれない。それだけ心配をかけたってことなんだろうけど、こんなの“そうしそうあい”のつがいじゃない。ミチカがそんなんなら、オレだっていろいろ考える。 (……ミチカがしてくれないなら、オレがするしかない)  オレだって立派な大人なんだから、つがいがやることだってできるはず。  そう思って風呂で洗いっこするときに、ミチカを洗ってやることにした。  オレたちは、つがいになると相手の体を洗ってやる。耳とか尻尾とかの毛繕いもする。ミチカは人だから耳も尻尾もないけど、つがいだからオレがちゃんと体を洗ってやるんだ。 「今日はオレが洗うし」  びっくりしているミチカを見ながらあわあわを作って、大きくてムキムキな体をゴシゴシした。もちろん、ちんちんも両手でちゃんと洗う。いつもミチカがしてくれるみたいに、優しーくゴシゴシした。 「ちょっと待って、」 「大丈夫。オレだって洗えるから」 「そうじゃなくて……っ。それ以上擦られると、我慢できなくなるから」  我慢って、何を我慢するんだ? そう思って顔を見上げたら、ミチカのほっぺたがちょびっとだけ赤くなっていた。 「……もしかして、気持ちいいのか?」 「そりゃあ、シュウがしてくれてるんだからね」  気持ちいいんだってわかったら、めちゃくちゃやる気が出てきた。オレはムクムク大きくなるちんちんを両手でゴシゴシしながら、ぶら下がっている大きな袋もモミモミした。  ミチカはオレのちんちんをモグモグするとき、袋も一緒にモグモグする。それがすっげぇ気持ちいいんだよな。だから、ミチカもきっと気持ちいいはず。 (……それにいつか、オレだってモグモグするし)  いまは両手だけど、いつかミチカみたいにモグモグするって決めている。だって、つがいのミチカがすることはオレもしてやりたいんだ。 「……っ、シュウ、これ以上擦ったら、子種が出ちゃう、よ」 「出せばいいじゃん」 「シュウ、」 「だって、オレたちつがいだろ? つがいなら遠慮しないんだって、大兄ちゃんが言ってた」  ちょっと前に、大兄ちゃんがナナヤにそう話しているのを聞いた。ナナヤは目が真っ赤だったけど、もしかして病気か何かだったのかもしれない。だから大兄ちゃんが「体のことも、もっと俺を頼れ」って言ってたんだと思う。そのとき「つがいなら遠慮するな」って言ったんだ。  オレはミチカのつがいなんだから、遠慮されるなんて嫌だ。オレだってミチカのためなら何でもしたい。  この前までは毒リンゴのせいで体が変だったけど、もうすっかり元気になった。だから、今度はミチカがオレを頼る番だ。でもオレにはご飯を作ったり人の町で労働したりはできない。だから、つがいのことで頼ってほしいって思ったんだ。 「それに、ミチカがつがいはいつでも食べていいって教えてくれたんじゃんか。元気になったから、オレのこともう食べていいよ? それとももう、オレはリンゴみたいにうまくなくなった?」  もしかして、毒リンゴのせいでうまくなくなったんだとしたら最悪だ。もうミチカに食べてもらえないのかもしれないって思ったら悲しくなって、ミチカのちんちんをもっとゴシゴシ擦ってしまった。  そうしたら、ミチカがぐぅって唸り声を上げた。ミチカは人なのに、狼みたいな声も出せるんだ。やっぱりミチカってすげぇ。 「せっかく我慢してたのになぁ。……まぁ、いいか。それにシュウのほうから食べてってねだってきたんだし」 「おう、いつでも食べていいぞ? いつ食べる? 明日? もっとあと?」 「せっかくだから、いまからいただきます」  ゴシゴシしていた両手を握られて、ミチカの顔が近づいてきた。ミチカの口がオレの口にくっついて、それからチュウチュウする。 (ふあ……やっぱりミチカのチュウチュウ、気持ちいいや……)  チュウチュウしていると、頭がぼんやりしてきて体がうずうずしてくる。ミチカが触っている肩とか背中とかがジンジンして、体の中からジュワッて汁が出そうだ。 「ね、シュウの全部、食べちゃっていいかな?」  耳に口をくっつけてしゃべるミチカの声に、背中がふるふるした。なんだろ、前より体がカッカしてすっげぇ熱い……。 「久しぶりだから、ここ、丁寧に洗おうね」  するって尻尾を撫でられたあとお尻をさわさわ撫でられた。それからお尻の穴をカリカリって引っかかれたら、オレの体はふにゃふにゃになった。 「ふぁ、ぁ、ぁぅ!」 「しばらく振りだけど、思ったより柔らかくなるのが早かったね」 「ふ、ふぁ、ぁ、はぅ」 「もう僕の指、根本まで入ってるよ? ……ふふっ、奥まできゅうきゅうしてる。もしかして、シュウも早く食べたいのかなぁ」 「ぅぇ……?」  食べるって、オレがミチカを……? 「うん、もうこれだけ広がるし、大丈夫かな。僕ももう我慢できそうにないし。……シュウ、ここで僕の、しっかり食べてね?」 (ぅえ? ここでって、お尻? そこで何を食べるんだ?)  そういえば、ナツヤたちがつがいとするときは、股の間に……何て話していたっけ。そんなことを考えながら、仰向けでパカッと開いた股の間からお尻のほうを見た。 (ふおぉ……ミチカのちんちん、いつもよりでかい)  風呂で洗いっこしていたときよりも、ずっとでかくなっていた。金色のモジャモジャ毛からニョキッて生えているみたいに見えるし、オレのちんちんの何本分だろう。  つーか、人ってちんちんのところにも毛が生えているんだな。オレたちにはそんなの生えてないから、びっくりした。 (……って、ミチカのちんちんがお尻に当たってる……?)  でっかいちんちんが、お尻の穴にピタピタくっついたのがわかった。ってことは、オレが食べるのはミチカのちんちんで、食べる場所はお尻ってことか?  ……そういえば、ナツヤたちが「ちんこが」とか「最初はゆっくり入れないと」とか話していた気がする。 「ぅお!?」  急に両足を持ち上げられてびっくりした。持ち上げたのはミチカで、腰まで持ち上がっているから変な感じだ。どうしたんだろうってミチカを見たら、今度は足をグッと折り曲げられて少し苦しくなった。 「ミチカ……?」  両足の間を見たら、持ち上がったオレのお尻にでっかいちんちんがくっつくところだった。最初はお尻に当たっていたちんちんが、お尻の間に入ってきて……穴を何度も擦っている。ヌルヌルしたのをたくさん塗ったから、ちんちんもヌルヌルしてきた。 「ねぇ、ミチカ、ちんちん、ぁ……!」  本当にちんちんをお尻に入れるのか聞こうと思ったら、ググーッて感じでお尻の中に入ってきた。 「ぅ、ぁ……!」  目の前がパチンって弾けたかと思った。ミチカの指が触るとビリビリして気持ちいいところをでっかいのでゴリュッて擦られて、そこから何かがジュワッて飛び出した。目がチカチカして体が勝手にビクビクする。 「……はは、鳴きどころを抉っただけで出ちゃったんだ。それに、いつもよりちゃんと白いね」  ぅえ……? オレ、子種、出したのか……? 「はぁ、さすがに全部挿れちゃあダメだよな。……うん、いきなりは壊れちゃうか。奥まで挿れるのはそのうちってことで、まずは半分、……いけるかなぁ」  ミチカがオレのお腹を撫でた。優しく撫でているのにゾワゾワして苦しい。でっかいのがお腹の中を押して、それをミチカの手が外側から押すから、お腹の中がいつもよりビリビリして変になる。 「シュウ、大丈夫? まだ僕の三分の一しか食べてないけど、もう少し食べられそう?」 「ふぁ、ぅ、ミチ、カぁ」 「ははっ、もう泣いちゃって、かわいい。でも……もっと泣いてほしいかなぁ」 「ミチカ、お腹、ジンジンす、るぅ」 「うん、もう少しだけがんばって食べようか。ほら……ね、これで半分だ。はは、半分でもすっごく気持ちいい」  ミチカがうれしそうに笑っている。つがいがうれしいならオレだってうれしいけど、……ダメだ、声が出ない。はふはふするだけで、口も開きっぱなしだ。  そんなオレにミチカは「かわいいね」って言いながら、チュウチュウしてきた。 「ちょっと動くね……っと、あー、まずい。これはすぐ出ちゃうやつだ」 「ぅ、ぅあ、ぁ、ぁう、ふひゃっ、ひゃ!」 「視覚的暴力もすごいな。こんな小さい穴なのにすっごく広がって、僕のを必死に食べちゃって」  ぅ、あ! やめ、やめて、ミチカ、お尻ん中、つんつんってつつかないで! 触られたら、何かがジュワッて出ちゃうんだって! 「それに……こんな小さなお腹なのに、僕のがちゃんと入ってる。……はは、少し膨らんでるね」 「ぅひゃっ!?」  お腹の下のほう、押したら、出ちゃうってぇ……! 何かわかんないけど、出ちゃうってばぁ……!  ダメだってミチカを見ながら必死に頭を振っているのに、ミチカはニコニコしながらお腹の下のほうを手でゆっくり押した。そのまま、お尻に入れたでっかいちんちんをゴリュゴリュ動かすから……! 「ぁう、ぅ、ひゃ、はふ、ぅ、あ……!」  ダメ、ダメダメ、出る、出ちゃうぅ!  必死に頭を振ってお腹を押している手を掴んだけど、全然どいてくれない。それどころかニコニコ笑いながら、でっかいちんちんをごちゅん! って動かした。 「ぅあ、あ――――! ………………ぁ、ぁう、で、ちゃ、た……」  ビーン! って体が固まったあと、体の中がぞっくんぞっくんした。それから……ちんちんから、何かが勢いよくピューッて出た。  いまのは子種じゃない。だって出そうになったとき、おしっこみたいな感じがしたんだ。いまもまだしょろしょろ出ていて、止まってくれない。 「オレ、おとな、なのに……っ。もらした、なんか、もらしたぁ……」  ベッドの上で漏らすなんて、すっげぇ小さい子どもしかしないのに……。 「大丈夫、これは気持ちよすぎると出るもので、子種みたいなものだよ」 「……ウソだぁ。だって、しろく、ない」 「白くないけど、……ほら、おしっこじゃないでしょ?」  ミチカがオレのお腹をびちょびちょに濡らした液体を触って、それを鼻に近づけてきた。…………おしっこの匂いは、しない。ってことは、本当におしっこじゃないってことか……? 「気持ちよすぎると出るんだよ。シュウがそれだけ気持ちよくなってくれたなんて、すごくうれしいなぁ」 「……でも、」 「それに、これは大人だから出るんだ。シュウはもう大人だし、僕のつがいだから出ちゃったんだね」  ……大人だと出る? オレがミチカのつがいだから、出た? 「……うん、やっぱりシュウの泣いた顔はかわいいなぁ」  ぅえ……? ミチカが、オレの顔をぺろぺろした。 (ミチカって、人、だよな……?)  それなのに顔を舐めるとか、まるで狼みたいだ……。   ▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ▽  シュウの目が覚めてから、せっせと滋養の薬を混ぜたご飯を食べさせた。お肉を食べられるまで回復してからは、庭のリンゴを干したものをスープに混ぜたり、ジャムでお肉のソースを作ったりして、初夜に向けての準備も一応進めることにした。  毒リンゴを飲まされたことにショックを受けているんじゃないかと心配したけれど、本人は「そっかー」と他人事のような感想を言っただけで、なんてこともなかったようだ。  森の中で毒にさらされる生活を送っている狼だから、この程度で済んだのだろう。狼たちは昔から毒に対する耐性が高い。あのハルキでさえ何度も毒ヘビに噛まれて大変なことになったのに、すぐに回復した。僕の解毒薬の効果があったとしても、人では考えられないほどの回復の早さだった。  そういえば、誤って毒キノコを食べてしまう狼は結構多いとナナヤが話していた。つまり、狼は日常的に毒を摂取してきたということなのかもしれない。  だからシュウも「毒リンゴを飲まされた」と聞いても平然としていたのだろう。ショックを受けていないのは何よりだったけれど、少し痩せた体を見たら急に罪悪感が芽生えた。 (僕のせいでこんなふうになったのか、なんて思う日が来るとはね……)  いままで女性同士のいがみ合いで何か起きても、罪悪感なんてまったく湧かなかった。しばらく関係を持った男が身をもち崩したと聞いても、「ふぅん」のひと言で終わった。 それが、僕のせいで危ない目にあったシュウを見ると胸が痛くなる。このまま手を出していいものか悩んでしまったくらいだ。 (せめて完全回復するまでは、おとなしくしていよう)  反省の意味も込めて、そう考えた。だから、そういう目で見ないように努力した。お尻をほぐしたりキスをしたりも一旦やめることにした。たまに下半身がどうしようもなく元気になったりしたけれど、それも気力でなんとか抑えた。 「それなのに、シュウのほうから誘ってくるなんてなぁ」  小振りな手で僕の勃起したものを抜く様子に、とんでもなく興奮した。それに、袋のほうまでいじるなんて驚いた。いじりながら唇を舐める姿に、思わず射精してしまうところだった。唇を舐めていたのは無意識なんだろうし、さすがに顔にかけるのはまだ早いと思って我慢したけれど。  とりあえず一旦やめさせようと思ったのに、「オレのこと食べてもいいよ」なんて、とんだ起爆剤だ。あんなにかわいい据え膳を食べない男は、もはや男じゃない。 「というわけで、おいしくいただいたんだけど……」  うーん、ちょっとやりすぎたかな。全部は挿れなかったけれど、そこそこ動いたし、ええと、四回は中に出したっけ。  シュウは最初のほうで潮を吹いてしまって、それからはほとんど子種も出さずに何度も絶頂していた。いくら中をいじっていたとは言え、あんなに感じてくれるのは喜ばしい限り……ではあるんだけれど。 「最後まで挿れたら、どうなってしまうのやら」  この小さい体の奥深くに、僕の欲望の化身をずっぽり挿れる――想像するだけで精液が少し漏れてしまった。四回も出したっていうのに、僕の息子さんは元気だな。 「お腹の、掻き出したくないなぁ」  せっかくたっぷり注いだんだから、本当ならこのままにしておきたい。でも、それじゃあお腹を壊してしまう。 「早く“祝福のリンゴ”の効果が出ないかな」  思わず口に出した言葉に、我ながら笑ってしまった。  ナナヤみたいに胎ができなくたって、精液でお腹を壊さなくなるだけでいい。そうすれば、シュウは僕のなんだと体の中にも匂いをつけることができる。 「……うわ、これじゃあまるでハルキみたいだ」  ナナヤに無理やり聞かされたノロケ話のハルキと同じことを考えてしまったなんて、残念な気分になる。でも、これは間違いなく僕の本音だ。こういう狼っぽい考え方をするようになったということは、僕の中にも白き狼の血が少しは残っているってことなんだろうか。 「いや、僕も狼のつがいらしくなったってことだな」  ベッドでぐっすり眠っているシュウの柔らかな頬を、指先でそっとつついてみる。……うん、今日ももっちりしていて、すごくおいしそうだ。これからは遠慮なく、この柔らかくておいしいシュウを食べ尽くすことにしよう。 「これだけ小さい体だと、上に乗ってもらってもガンガン動けそうだなぁ。あ、中に挿れたまま歩いたりもできそうだ」  そういう性技があると、以前付き合っていた男から聞いたことがある。よし、いつかシュウとやってみよう。それにお風呂で中を洗ってすぐに挿れても、そのままベッドまで運んであげられそうだし。  半分外みたいな風呂場だと風邪をひくかなと思って遠慮していたんだけど、本当はあそこで一度してみたかったんだよね。外でするのって、開放感と羞恥心が混ざり合って、すごく興奮しそうな気がする。 「これからが楽しみだなぁ」  チュッて頬にキスをしたら、むにゃむにゃ言いながらシュウがくっついてきた。あはは、本当にかわいいなぁ。  季節はすっかり暖かくなったけれど、僕よりずっと小さくて温かいシュウをぎゅうっと抱きしめて、「幸せだなぁ」なんて思いながら僕も寝ることにした。

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